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翻訳時に知っておくべきオランダ語の特徴

ホッケー
By Chris Hills (CC)

翻訳において重要なことは、ソース言語( 翻訳元の言語、オランダ語から日本語への翻訳の場合はオランダ語 )の特徴をよく理解し、翻訳の問題点になる部分について、対応策をしっかり立てておくことです。通常、翻訳者は、ターゲット言語( 翻訳後の言語、オランダ語から日本語への翻訳の場合は日本語 )のネイティブスピーカーであり、ソース言語は後で習得した言語です。それゆえ、オランダ語翻訳者は、母国語でないオランダ語の特徴をよく知り、有限の知識の中から、正確な日本語訳を作り出していくことになります。ここでは、この作業のヒントをいくつかご紹介します。

オランダ語の特徴その1 オランダ語風のスペル

オランダ語翻訳の際に、見知らぬ単語で辞書にも見当たらないという状況に出くわすことが多々あります。オランダ語は、英語やドイツ語と言語的に似た部分が多くあり、単語レベルでも簡単に借用して、オランダ語風のスペルや発音にして、使用しています。特に専門用語などで、オランダ語の辞書にその語が見つからない場合、英語ならどう綴るだろうかと推測して、英語の辞書で日本語の意味を調べることができます。
いくつか例を下に示します。

オランダ語 英語 日本語
◆オランダ語 「 ne 」 → 英語 「 n 」
rifampicine rifampicin リファンピシン
flucloxacilline flucloxacillin フルクロキサシリン
◆オランダ語 「 f 」→ 英語 「 p h」、オランダ語 「 sch 」→ 英語 「 c 」
fylogenetisch phylogenetic 系統発生の
fenol phenol フェノール
◆ オランダ語 「 tie 」→ 英語 「 tion 」、
resuscitatie resuscitation 蘇生
inflammatie inflammation 炎症
◆ オランダ語 「 i 」→ 英語 「 y 」、
genodermatologie genodermatology 遺伝皮膚病学
encephalopathie encephalopathy 脳症

このほかにも、オランダ語「k」→ 英語「c」など、多くのスペル上の特徴があります。

オランダ語の特徴その2 略語

オランダ語は、略語を多用する言語です。オランダ語翻訳において、略語の意味を正確に把握することが重要です。例をあげると、VROM、OCW、LNVなど、オランダ語では省庁名や公共機関名が頻繁に略語で登場します。通常、正式名称はかなり長く、前出のVROMが「Ministerie van Volkshuisvesting, Ruimtelijke Ordening en Milieubeheer」で日本語では「国民住居・国土計画・環境省」、OCWが「Ministerie van Onderwijs, Cultuur en Wetenschap」で「教育文化科学省」、LNVが「Ministerie van Landbouw, Natuur en Voedselkwaliteit」で「農業・自然・食品安全省」となります。また、省庁名は、政策とともに変化することがあり、例えば、LNVは、以前は「Ministerie van Landbouw, Natuurbeheer en Visserij」(農業・自然・水産省)の略称でしたが、2003年に「Voedsel en Waren Autoriteit」 (VWA、食品消費者製品安全庁) を吸収したため改名され、現在は「Ministerie van Landbouw, Natuur en Voedselkwaliteit」(農業・自然・食品安全省)の略称です。このように、オランダの社会の動きに注意をせずに、辞書やインターネットソースから日本語の意味を拾うと、古い情報を誤って用いてしまうことになりかねません。オランダの時事に不案内な場合や迷った場合には、まずその省庁(機関)の正式なホームページへアクセスし、確認するとよいでしょう。
省の名前以外に、オランダ語翻訳時によく見かけるものには、
NS オランダ鉄道 (Nederlandse Spoorwegenの略)
K.v.K 商工会議所 (Kamer van Koophandelの略)
t.a.v. ~宛て (手紙などで使用され、ter attentie vanの略)
a.s. 次の、来たる (aanstaandeの略)
d.w.z. すなわち、つまり (dat wil zeggenの略)
などがあり、これら以外にもほんとうに驚くほどたくさんの略語が存在します。
さらに、「t.g.v.」と書かれていても、「ter gelegenheid van(~の際に)」の略なのか、「ten gevolge van(~の結果として)」の略なのかは、見た目ではわかりませんから、内容をよく読み取って、その流れからふさわしい意味になるように略する前のフレーズを臨機応変に組み立てる技術が必要な場合もあります。

オランダ語の特徴その3 分離動詞

オランダ語の特徴として、分離動詞を挙げることができます。例えば、次のオランダ語文と日本語文をご覧ください。
オランダ語文:Ik kan een fles wijn opdrinken.
日本語訳:私はワインを1本飲み干すことができます。
オランダ語の「opdrinken」は身近な動詞で「飲み干す」という意味です。動詞の原形が「opdrinken」で、オランダ語の辞書で調べる場合には、この形を使います。動詞が原形の場合はさほど問題はないのですが、例えば、
オランダ語文:Drink de koffie op!
日本語訳:コーヒーを飲み干しなさい!
となると、「Drink」と「op」が離れてしまっています。このように、基礎動詞(drink)と接頭辞(op)に分かれる動詞が分離動詞で、オランダ語において非常に多いタイプの動詞です。例文は短いのでまだわかりやすいですが、文章が長くなり、関係代名詞などでつながっていくと原形動詞の判断が難しく、よく文を分析してから、翻訳を進めることが重要になってきます。
また、過去(分詞)形になると、基礎動詞部分が変化します。
オランダ語文:Ik heb gisteren een fles wijn opgedronken.
日本語訳:私は昨日ワインを1本飲み干しました。
接頭辞(op)と基礎動詞(drink)の間に「ge」が入り、基礎動詞部分が「dronken」に変化しています。つまり、オランダ語の分詞変化の基礎を理解していないと、動詞の原形を見極められず、辞書で日本語の意味を探せなくなってしまいます。
最後にもう一文、ご紹介します。
オランダ語文:Ik heb gisteren een muur van 5m hoog opgemetseld.
この文の「opgemetseld」が動詞であり、「op」と「metseld」に分けることができ、基礎動詞部分の「metseld」の原形が「metselen」であることがわかったとします。ここまでで、すでに3つのステップを踏んでいますね。さらに、「opgemetseld」の原形動詞は、「opmetselen」だなと見通すことができたとします。しかし、ここで問題が生じます。「opmetselen」を、日本で唯一の本格的な蘭和辞典『講談社オランダ語辞典』で探してみても、見つかりません。こんな場合は、「metselen」と「op」を辞書で引いて、自分なりにしっくりとくる意味を推測するか、蘭英辞典を引くかの手段をとる必要があります。簡単に意味が想像できない場合、訳文の中で日本語としてうまく意味がつながらない場合には、必ず蘭英辞典を調べる、またはインターネットでその語が同様の文脈で使われているのを探し出し類推するなどします。(ちなみに先の例文を日本語に訳すると、「私は昨日高さ5メートルの壁のレンガを積み上げた」となります。)

オランダ語と日本語間の翻訳では、英語から日本語への翻訳の場合とは異なり、辞書などの点で参考になるものが少ないですので、正確なオランダ語翻訳を行なうには、オランダ語の特徴をよく知り、インターネットなどをうまく使って、正確な訳語を探し出すことが、正確なオランダ語翻訳を行う際に重要かつ不可欠なポイントと言えるでしょう。



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