英文執筆、英文編集、英文校正
英文を作成するには、英文執筆、英文編集、英文校正という3種類の作業があり、それぞれ違ったアプローチが必要となります。英文を作成するとして、自分が執筆者や編集者、あるいは校正者だったらと想像してみると、わかり易いかもしれません。この3種類の作業にかかるときには、各作業に応じて見方を変えるとともに、それぞれ異なるスキルを使いこなす必要があります。
ここで、論文執筆者のために書かれた教科書を思い浮かべてみましょう。その中で、 英語教育を論じた仮想論文を題材にして、前述の3段階の作業が論じられています。本エッセイでは、この仮想論文の題名を仮に『 英語教育の未来』とします。3段階の作業は、次のとおりです。
- 執筆者が 『 英語教育の未来 』 の英文草案を執筆
- 執筆者が 『 英語教育の未来 』 の英文編集
- 執筆者が 『 英語教育の未来 』 の英文校正
(注 : 世間一般では、執筆者と英文校正者が同一人物の場合もあるようですが、ELSで翻訳 ・ 英文校正を行う場合は、翻訳者と英文校正者を別の人間に割り当てます。)
本稿では、この3段階の作業について解説します。各段階の作業と、各段階で必要とされる様々な役割を意識しておけば、よりよい文章を作成する資となると考えます。
執筆者としての役割
実生活や仕事は、決して教科書どおりの明快で正確なものではありません。実際には、まず論文の最初の草案を書くことになります。この段階で費やされる時間は執筆者によって異なりますが、おそらく論文完成までの全所要時間のうち半分弱になるのではないでしょうか。
論文執筆の教科書があるとして、この教科書どおりに作業を進めるとすると、論文執筆者は、『 英語教育の未来』の最初の草案にじっくりと取り組むことになります。実際には、ちょっと書いてはちょっと編集し、ちょっとずつ英文校正を、といった調子かもしれませんが、まずは最初の草案を作成します。この段階で英文編集や英文校正に過大な時間を費やすのは、適切ではないからです。
英文編集
その後、教科書どおりの学術論文執筆手順だと、その論文について英文編集を行います。実際には、この段階でも、新たに段落を付け加えてその英文校正をしたり、英文編集と英文校正の両方の作業を行ったりするかもしれません。英文編集とは、英文を洗練する作業段階なのです。ELSサイトに掲載しているエッセイ等でも取り上げていますが、この作業段階では文章の作りこみに全力を注ぎましょう。ライティング技術については、初心者、上級者のどちら向けにも、多くの書籍やウェブサイトが扱っています。この英文編集段階、すなわちリライト ( 書き直し ) が、優れた文章を作成する鍵となります。もし 「 リライト 」 を3つの言葉で言い換えるなら、明確さ、力強さ、簡潔さ、といったところでしょうか。この3点が、優れた文章を書くための目標です。それでは、『 英語教育の未来 』がこれら3つの目標に合致しているか否か、検証してみましょう。
- 明確さ : 『 英語教育の未来 』 に述べられているメッセージは、明確でしょうか?執筆者や編集者、校正者としての観点から、自分が述べたいことをきちんと読者に伝えているかどうか、自分自身に問う必要があります。読者が理解できない論文は、価値が下がってしまいます。
- 力強さ :『 英語教育の未来 』 に述べられているメッセージは、力強く表現されているでしょうか?読者の心を動かすようなメッセージかどうか、自分自身に問う必要があります。
- 簡潔さ : 『 英語教育の未来 』 の中に、情報が凝縮されているでしょうか?短い論文が簡潔なわけではありません。簡潔であるとは、冗長にならず無駄な言葉が含まれていないことです。余分な言葉を使うと論文がぼやけてしまい、メッセージの効果が薄れてしまいます。また、論文に不必要な言葉を加えるのは、ビジネスレターを 「 やあ、君たち!」 で書き始めるようなもので、論文とは言えない代物になってしまいます。
英文校正
最後に、執筆者は英文校正作業へと進みます。論文執筆の教科書どおりに考えると、自分の文章を自分で校正すべきではありません。私たちは通常、文意を汲み取るために文章を読んでおり、間違いを探す目的では読んでいません。このため、自分の間違いには気づきにくいのです。自分では、書こうとしていた内容が頭にはっきりと残っていますから、書いた文章を理解できてしまいます。ですが、自分以外の読者にとっても文章が明快であるかどうかは、別問題です。こういった理由から、論文の英文校正は、友人や同僚に頼むべきであるといえます。英文編集が適切に行われていれば、英文校正にかかる時間は、全体からすればほんの少しです。英文校正とは、間違いを探す作業工程なのです。もちろん、教科書のように各作業工程がきっちり分かれていることはほとんどありませんので、英文校正中に英文執筆や英文編集作業が必要となることもあるでしょう。さて、『 英語教育の未来』の英文校正が終わると、私たちのプロジェクトは終了です。後は出版を待つばかりです。
英文校正を行って間違いをほとんど無くすことは、それほど難しくありません。ですが、ほぼすべての間違いを無くすことはできても、間違いを完全に無くすことは不可能といってもいいでしょう。有名な雑誌ナショナル ・ ジオグラフィックは誤記の無い出版物を出そうと大変気を遣っています。各記事が執筆され英文編集が完了すると、4人の校正者がそれぞれ4回ずつ英文校正を行うそうです。つまり1本の記事は16回も英文校正されるのです。英文校正の段階で一つ残らず間違いを見つけられるかどうか、ナショナル ・ ジオグラフィックの編集者に尋ねれば、「 すべてではありません 」 という答えが返ってくると思います。とはいえ、徹底した英文校正作業工程ですから、たいていの間違いは見逃さないでしょう。
英文編集と英文校正
英文編集と英文校正の違いがはっきりわかっていない執筆者は、たくさんいると思います。オックスフォード ・ アメリカン ・ ディクショナリーによると、編集とは 「( 執筆物の ) 間違いを正したり、簡潔にしたり、修正したりすることによって、出版の準備をすること 」 とあります。とても分かりやすいですね。同辞書の英文校正についての定義は、「( 校正刷やその他執筆物、印刷物などを ) 読み、間違いを示すこと 」 となっています。こちらは一転して分かりにくくなりました。
簡単に言うと、英文編集とは論理の一貫した文書を作る作業工程なのです。英文編集段階でもある程度は英文執筆や英文校正作業を行うかもしれませんが、主たる目的は英文の編集です。英文校正段階では、間違いを見つけて英文編集あるいは英文執筆段階に戻る必要があるかもしれませんが、完成文書に目を通して、以下のような間違い等がないか確認することが主目的です。
- 単なる事実誤認
- スペルミス
- 文章レベルでの文法間違い
- 句読点に関する問題
- 不正確な指示など伝え方における問題
- 文章の欠落
- 書式に関する問題
- 配置に関する問題
英文執筆と英文編集を行う段階では、こういった間違いを見逃す可能性があります。このような間違いを見つけるのが、英文校正なのです。
『 英語教育の未来 』 の完成
『 英語教育の未来 』 はこれで完成です。あなたの論文は、英文執筆、英文編集、英文校正の各作業を経て、出版されました。『 英語教育の未来 』 に関するあなたのメッセージを、無事、世界に伝えることができたのです。この論文は修士論文として受理され、あなたは文学修士号を取得しました。さらに、あなたが提案した内容のうち一部は実行に移されており、あなたは喜びでいっぱいです。
おめでとうございます!
追記 : 本エッセイを日英両言語で読まれた方は、文化的な理由や改訂による差異にお気づきになるかもしれません。私たちは単なる言葉の置き換えではなく、内容を的確に伝えるために日英の両言語でエッセイを作成いたしました。英文エッセイを日本語に翻訳した後も、日英どちらのエッセイについても修正を行い、メッセージをきちんと伝えているか各エッセイごとに検証しています。よい翻訳とは言葉の置き換えではなく、メッセージを伝えることだからです。
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Eliminate Dead Wood
1. It is said that it is difficult to be a good writer. The fact is that it takes practice to be a good writer. Practice writing and you will improve, becoming a better writer.
2. Being a good writer is difficult and requires practice. Practice to improve and write better.
Which do you prefer? Both the above sentences carry the same meaning. The second sentence has had some dead wood cut away, but there is still more.
Cut your dead wood.
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