分かりやすい英文サイエンスライティングとは
ELSのエッセイを読まれて、分かりやすい英文の書き方について何か新しい情報を得ていただけたでしょうか?それぞれ扱っている内容は異なるものの、これらのエッセイでは、よい英文ライティング ( 執筆 ) のために必要な基本ルールとは何かについて、一貫して述べられています。科学、法律、医薬など、分野ごとに対象とする知識は確かに異なります。法律文書の執筆者は、法律に関する知識が必要になります。また、医学、科学分野の執筆者はそれぞれ医学、科学分野の知識が必須です。
専門分野ごとにライティングの仕方が異なる、という主張をよく耳にしますが、専門分野ごとのライティングの差というのはそれほど大きいとは考えていません。それよりもっと大きな違いは、執筆者が有する専門分野に関する知識です。自分が専門知識の集合体であると考えると、理解しやすいかもしれません。身につけた専門知識を活用して質の高い英文サイエンスライティングが出来るようになりたいと考えていらっしゃる執筆者、翻訳者の方には、次のような提案をしたいと思います。
- ライティングの対象となる科学分野の知識を、日本語でしっかり習得する
- 日本語で書かれた科学出版物を読み、最新の動向を把握する。
- ライティングの対象となる科学分野の知識を、英語でしっかり習得する
- 英語の科学出版物を読み、最新の動向を把握する
- 翻訳者は翻訳をしなくてはならないが、執筆者はその必要がないことを認識する
- いろいろな分野の優れた英文を読み、英文ライティングのモデルとする
- すぐれた科学文書を読み、さらに英文ライティングのモデルを蓄積する
このエッセイでは、上記七つの提案について詳しく述べます。ELSが掲載している別のエッセイ、Watson and Crick and Good Science Writing では、優れた英文サイエンス ライティングモデルを具体的に紹介し、考察しています。七つの提案に沿って、さらにサイエンスライティングモデルが包含するルールを思い出し、これに則ってライティングを行えば、英文ライティングのレベルはかなり向上するでしょう。
1. ライティングの対象となる科学分野の知識を、日本語でしっかり習得する
学習とは、知っている領域から知らない領域へ向かっていく過程のことです。ある分野から新しい分野へ移行するときのことを考えてみてください。新しい分野の学習を始めるとき、あらかじめその分野の知識を母国語で持っていれば学習内容の理解が容易でしょう。科学分野のすぐれた執筆者を目指すのなら、まず科学知識を母国語で習得する必要があります。
2. 日本語で書かれた科学出版物を読み、最新の動向を把握する
ELSがお勧めする学習方法の一つが読書です。各人が読書をする理由は様々でしょうが、執筆者や翻訳者の場合、ライティングの学習とライティング力向上は重要な動機です。科学出版物を読めば知識が広がり、最新の動向を知ることができます。また、優れたライティングを読むことで、文章が上達します。逆に、レベルの低いライティングを読んだときには、なぜよくないかという点に着目すれば、自分が同じ過ちを繰り返さないように心がけることができます。
3. ライティングの対象となる科学分野の知識を、英語でしっかり習得する
専門とする科学分野の知識が十分にあれば、英文ライティングや翻訳に集中して取り組むことができます。私たちの頭が一度に処理できる分量は限られています。新しい情報があまりにたくさんあると、頭は過負荷に陥ってしまい、満足に機能できません。言い換えると、科学知識を英語で学習しながら、並行してそれを英語で表現していくことは困難です。したがって、科学知識をまずは英語で習得し、それから英語でのライティングに専念することをお勧めします。
4. 英語の科学出版物を読み、最新の動向を把握する
読書は大変有効な学習方法の一つです。読書をする理由はいろいろあるでしょうが、もっとも重要な動機として、ライティングの学習とライティング力向上が挙げられます。科学出版物を読めば、知識を習得し、最新の動向を知ることができます。すぐれたライティングを英語で読めば、文章が上達します。逆にレベルの低いライティングを読んだときには、なぜ文章が下手かという理由について考察し、同じような誤りを避けるようにします。
5. 翻訳者は翻訳をしなくてはならないが、執筆者はその必要がないことを認識する
翻訳者は「 翻訳 」をしなくてはなりません。それが仕事ですから。学術分野や科学分野の出版物翻訳を手がけている日英翻訳者は、日本語から英語への翻訳を担当します。これは大変な作業です。日本人の文章は冗長で曖昧なことが多々あり、英訳しにくいのです。日本語の学術論文の場合、科学分野の学術論文は、一般に、人文社会分野の学術論文よりは分かりやすく書かれているものの、それでもまだ序論、本論、結論の構成をもつ英語の論文ライティングスタイルとは大きく異なっていることがあります。
一方、執筆者は 「 翻訳 」 をする必要がありません。学術分野や科学分野の出版物を書くとき、自分で英文を考えて書くため、日本語原文の持つ冗長性や曖昧性といった問題を避けることができます。英語で論文を書くのは 実際のところ大変骨の折れる作業ですが、序論、本論、結論という分かりやすい展開で明瞭なライティングを心がければ、分かりやすい文章に仕上がります。
6. いろいろな分野の優れた英文を読み、英文ライティングのモデルとする
すぐれた文章は、執筆者や翻訳者にとって計り知れないほどの価値があります。特に執筆者は、文章のまとめ方や書き方を自身のライティングモデルとすることができます。すぐれた文章は、執筆者だけではなく、日英翻訳者にとっても有用です。日本語原稿の中には、翻訳者が、自分のもっている知識に基づいて、英訳可能な文書にまとめ上げることが非常に難しいものもあります。こういった場合でも個々の文レベルでは、それまでに読書を通じて学んだ知識を使うことにより、日本語の原文をできるかぎり分かりやすい英文に英訳することは可能です。執筆者や日英翻訳者ほどではないにせよ、すぐれたライティングは英日翻訳者にとっても大変役立ちます。読書が英語の理解力を伸ばしてくれるからです。理解力が向上すれば、英和翻訳の質も高まります。
7. すぐれた科学文書を読み、さらに英文ライティングについてのモデルを蓄積する
読書の大切さは前述の各項目で十分に強調してきましたが、すぐれた科学文書を読めば、対象分野におけるライティングの作法が習得できるという点を付け加えたいと思います。分かりやすい英文サイエンスライティングについては、当方のエッセイ、Watson and Crick and Good Science Writingで続きをご覧ください。
結論
このエッセイの始めで、専門分野が違っても英文ライティング自体の差はそれほど大きくはないと述べました。ライティングの基本はどの分野でも同じで、違いは、各分野で必要となる専門知識だからです。同様に、執筆者や翻訳者が英文ライティング力をつける道は、どの分野でも同じです。母国語と第二言語の両方で、対象とする分野の知識を習得しましょう。両方の言語で書物を読み、専門分野の知識を増やし、最新の動向を把握します。文章力をつけるために本を読むことが大切です。読書はライティング力を向上させてくれます。レベルの低いライティングを読んだときには、その理由を考えてみましょう。ライティングの問題点と、その具体例をリストアップし、文章を書くとき、同じ過ちをしないように気をつけます。最後に、文章構成に注意して、このエッセイをもう一度読んでみてください。この文章構成が、科学分野の英文ライティングの基本となります。
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NASA Style Guide
We know when you are thinking about space flights, Apollo 11, and NASA, writing style is probably far from your mind. Still, astronauts do care about writing style. You might want to take a look at NASA's Handbook for Technical Writers and Editors. Try googling "Handbook for Technical Writers and Editors" and NASA to find a current copy.
Even NASA has its own style guide. Clarity in writing is essential for science and technology to be understood and implemented. NASA understands this requirement for clarity and the NASA style guide emphasizes such clarity. What we find interesting about the NASA style manual is the emphasis on grammar. Much of the manual is a grammar review. Actually, the NASA Style Guide may be an ideal text for a grammar reference or grammar review.
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