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音声にみるポルトガル語翻訳

壁画
By Madalena Pestana (CC)
 
翻訳作業をする上で、書き文字であればなんら問題はないものが、音声で表現すると、それがポルトガル本国のポルトガル語翻訳に基づくものなのか、あるいはブラジルのポルトガル語翻訳がオリジナルなのか、少し気になることがある。
 
日本人を意味するjaponés。ポルトガルでは「シャポネス」に近いような緩やかな音になるのに対し、ブラジルでは「ジャポネイス」というはっきりした音になる。日本Japãoもポルトガルでは「シャパウン」に近く、ブラジルでは「ジャポン」。カタカナ表記では似たようなものだが、これが実際に発音されると、まるで違う音として認識されてしまう。  
他にもtiやdiの発音や、語尾におけるteやdeにおいても大きな差がある。ポルトガル本国では「ティ」や「ディ」となるところが、ブラジルでは「チ」や「ヂ」という強い音になるのだ。「日本出身です」という意味のSou de Japãoは、プルトガルでは「ソウ・ディ・シャパウン」、しかしブラジルでは「ソウ・ヂ・ジャポン」となってしまうのだから、これら2つの音声には、同じラテン語系のスペイン語とルーマニア語ほどの違いがあると言えるかもしれない。

ブラジルの日系人が登場するポルトガル語エッセイの翻訳に携わったときのこと。この中で、ある日系男性が日本語らしき発音で「じゃあ」と言って挨拶するのを聞いた日本人が、「その日系人はかなりくだけた日本語表現にまで精通しているのだ」と思い込んでしまったというエピソードが紹介されていた。一般的に日本人なら「さようなら」だの「また明日」などと言うシーンで、その日系人は気さくな態度で「じゃあ」と口にしたのである。しかし、実際には彼はポルトガル語で挨拶していたのだ。Bom diaボン・ヂーア、すなわち「良い一日を」と言っていたのである。
このエピソード(エッセイ)はブラジル人だから理解できること。「ボン・ディーア」と発音するポルトガル人ではまったく通じない話である。  
休憩
By Madalena Pestana (CC)

また、別のエッセイにおけるポルトガル語翻訳の際のエピソードなのだが、あるブラジル人女性が、日系人の経営している八百屋で日本語を知っていると勘違いされたという話があった。それは卵が置かれているあたりを指差して「タマゴ」に似た音を発したことで、日系人は彼女が日本語を勉強しているのだと思って嬉しくなり、「その通りタマゴだよ」と笑顔で答えたところ、怪訝な顔をされたというのだ。実は、彼女は卵の横にあったパパイヤを指差し、それはEstá maduro? 「熟していますか」と尋ねていたに過ぎなかったのだ。    
ブラジルで使われるポルトガル語の発音だと、BE動詞活用の語尾だけを発音して「タ・マドゥーロ?」となる。日系人のお店の人は指差した方向に卵があったことから、てっきりタマゴと呼んだのだと勘違いしたという話である。しかし、これも先ほどの話と同様に、ポルトガル人が理解できるかどうかは微妙である。「イシュター・マドゥーロ?」から、はたしてタマゴという音だけを拾うことができるだろうか。
 
幸い、これまでのところ、「 ポルトガル本国のポルトガル語と日本語間の翻訳 」、あるいは「 ブラジルのポルトガル語と日本語間の翻訳 」は別々に依頼されている。「 ポルトガル、ブラジル、日本の言語文化を絡めたエピソードを紹介するときには、一体どんな工夫をしてポルトガル語翻訳をするとわかりやすくなるのか…… 」と、まだ悩まずに済んでいるので助かっている。


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