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読み手を考慮したポルトガル語翻訳

ナンバー
By Flavia Man (CC)
ポルトガル語翻訳に携わる際、その言葉がポルトガル本国のものなのか、ブラジルで使用されているものなのかをいささか考慮せねばならないことがある。

そもそも文芸や観光といった、ある程度限定された内容を除き、ポルトガル語で書かれた文章はブラジルが対象であることが多い。特にビジネス文書の場合は、日本との関係を考えると、圧倒的にブラジルの法人や個人が相手となる可能性が高い。

もちろんどちらも同じポルトガル語であって、ポルトガルとブラジルの2カ国間で意思の疎通が図れないとか、表現がまるっきり異なるということはない。ぶっちゃけた話、ブラジル語というものは存在しないということだ。これはオリジナルであることを自負しているポルトガル人のみならず、かつては属国であったのが、今では完全に力関係を逆転させたという自信に溢れているブラジル人でさえも同じ意見だ。ただ、両者の間に全く問題がないというわけではない。

ビジネスの場で通訳をしたとき、数字を交えた会議内容を訳して議事録に残すとき、ポルトガル人に笑われたことがあった。そのときから注意するようにしているのだが、ブラジル人は数字の6をmeiaと読むことが多い。meiaとは半分という意味で、多くのものを計る場合にダース、すなわち12を1単位とする習慣から、その半分という意味で6がmeiaになるわけだ。
だがポルトガル人にとって6はあくまでもseis と表現すべきものだ。もちろんブラジル人にだってそんなことはわかっているし、財務大臣の発言で6を「半分」などとは言わない。あくまで、純然たる6の場合だけがmeiaなのだ。だからボーイング767は「ボーイング、7、半分、7」となり、6千は決して「半分、千」とはならない。
他の数字を普通に読んで記録しておきながら、いきなり6だけ「半分」と言われて驚かれたのも無理はないと反省した。もっとも翻訳する場合、これは書き言葉になるし、6をどう読むかをいちいちスペルで記す必要もない。6は6と記せば事足りる話だ。
海辺
By Rodolfo Nunez (CC)
それでも似たような小さなトラブルはどこかで発生しているのかもしれない。最近では、ポルトガルでもブラジルのテレビドラマが盛んに放映されるようになった。もちろん吹き替えなどせずにそのまま音声を流すから、多くのポルトガル人が「ブラジル語」に接する機会が増えた。そのため6を「半分」と聞いても、すぐに理解できるようになったと思われる。だが本国のポルトガル語に慣れていないブラジル人は今でも多い。彼らが使わないような言い回しや表現を、ポルトガル語翻訳の際にそれとは知らず使っていることはないだろうか。読み手に配慮する必要があるのはこんなところからも言えるわけだ。


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