同じポルトガル語でも国によって訳し分ける…そのノウハウが ELS にはあります

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国により異なるポルトガル語翻訳

鳥
By Bruno Girin (CC)
ポルトガル語翻訳にたずさわるとき、ポルトガル語から日本語への翻訳に比べて、日本語からポルトガル語への翻訳に多少注意を払わねばならないことがあるかもしれない。それは、「 ポルトガル本国のポルトガル語 」と、「 ブラジルで使われているポルトガル語 」とに若干の差異があることによる。

日本とポルトガル語圏との関係を考慮すると、ポルトガル語翻訳をおこなう場合、圧倒的にブラジルで使われているポルトガル語が中心となってくるだろう。確かに多くの日本企業がポルトガルに進出している。しかし、欧州全体の商業取引や文化交流等において、対ポルトガル一国のみが占める割合は著しく減少しており、もともと欧州でもマイナー言語であったポルトガル語の需要がそれほど大きくないのもうなずける。その一方で、豊富な資源と労働力をもち、南米周辺国への影響力が大きいブラジルには、日本からの投資も多く、ポルトガル語翻訳の必要性が高まるのも自然の流れといえよう。

ブラジルで数年を過ごした筆者(日本人)は、ブラジルのポルトガル語を身につけたことになるが、そんな筆者がポルトガルに行った場合、どんな問題が生じるのか……。それこそが「 ポルトガル本国のポルトガル語 」と「 ブラジルのポルトガル語 」の差異ということになるだろう。

筆者がリスボンのホテルにチェックインし、フロントで「明日の朝食は何時から食べられるか?」と聞いたとき、一瞬とまどった表情を見せてから時間を教えてくれた。
その理由はすぐに教えてもらえた。ブラジルでは朝食を cafè da manhâ (カフェ・ダ・マニャン)というが、ポルトガル本国では pequeno almoço(ペケノ・アウモソ)という。日本語に直訳すると、前者は「朝のコーヒー」という意味で、後者は「小さな昼食」という意味になる。これを単に呼称が違うということで片付けることもできるだろう。 しかし、こうした何気ない日常の言葉からこそ、それぞれの言語の背景にある歴史や文化の奥深さに気づくことができる。
親子
By Antonio Machado (CC)
ブラジルは、ご存知のようにコーヒーの大産地であり、季節にかかわらずよく飲まれる。朝コーヒーを飲むことで1日がスタートするため、それが「1日の最初の食事」の代名詞として使われるようになったのも納得できる。

他の欧州系言語では、朝食にコーヒーをいくら飲む習慣 があっても、朝食そのものに「コーヒー」とつけて呼ぶことはしない。ポルトガル本国でも欧州の一国として生活様式は似ているであろうし、「1日3回の食事の1度目」という観点から、昼食より控えめの食事という程度の認識でこうした呼称になったのではないだろうか。

こうした認識は両国の言葉の違いを知ったうえで、初めて明らかにできることである。
日本語からポルトガル語に翻訳する際に、対象がブラジル人なのかポルトガル人なのか、そうしたことを念頭に置いて作業を進める必要があると意識するきっかけとなった。


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