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決算書のイタリア語翻訳

水路
By Daniele Lanci (CC)

 
現在ほとんどの国の会計制度で、複式簿記が当たり前のように使われている。これは一つ一つの取引を貸方と借方と呼ぶ双方の記帳することで、後になって記帳を遡ったり、現在の状況を的確に判断したりするのに大いに役立つ。なんとも緻密で明確なシステムであり、よほど数学に強いか、物事をきちんと整理しようとする人々が編み出したのは違いないし、その有効性が認められているからこそ世界中で使われているのだと言える。  

そしてこの複式簿記がイタリア生まれであると聞くと、いったいそのイタリア人たちはどこへ消えてしまったのかと、現代イタリア人を見ていて驚異にすら思えてくる。  

さてイタリア語翻訳に携わっていると、ビジネス文書はもちろんのこと、決算書を翻訳する機会が多くなる。この場合、会計知識がないとなかなか大変だ。イタリア語をそのまま日本語に翻訳していては珍妙になってくるし、逆の場合も同様である。それぞれのお国柄もあるのだろうが、表現の違いを見ていくとなかなか興味深い。  

まず前述の貸方と借方だが、それぞれavereとdareと呼ぶ。前者は資産であったり、利益であったり、いずれにしても手持ちになっているものを大枠で指し示す。このためイタリア語ではavere、すなわち「持つこと」という実にすっきりとそのものずばりと指し示す表現になっている。いっぽうの後者は債務であったり、経費であったり、じぶんの外へ出て行ってしまうものだ。ゆえにイタリア語ではdare、つまり「与えること」。これらの表現に関してはイタリア語のほうが実に本質を示していてわかりやすいと言えよう。  

資産はattivo、負債はpassivoと、英語とも似ているから想像しやすいが、前者はつまりアクティブであり、後者はパッシヴだ。資産は活発で積極的で精力的だが、負債は不活発で消極的で動きのないものと言いたいのだろうか。それが原因かどうか、イタリアの会社というのは、資産である債権の取立てはやたらうるさく主張する代わりに、負債である債務の支払はとかく実行するのが遅い。字面から言えば、さもありなんということか。  

固定資産の価値を定額や定率で減じることを示す減価償却をイタリア語ではammortamentoという。この言葉の中に含まれるmortaが死を語源とする如く、元々この言葉の意味は人を死に追いやることだった。物品にも寿命を感じ、衰弱して永眠に至る姿をイタリア人は感じているのだろうか。  

ところで収支勘定や貸方と借方を総括する書類である貸借対照表はbilancioと呼ぶ。これは英語でもバランスシートと呼ぶ如く、まったく同じ発想に基づいていると考えていい。しかしイタリア語ではビランチョと発音する。口の悪い日本人のイタリア語翻訳者にかかると、何故イタリア語でこう表現するかというと、かくも収支がメロメロなのに私腹をこやす経営者の多いイタリアのこと、決算書は「糜爛帳」と呼ぶにふさわしいということになるそうな。


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イタリア語一口メモ  

贈収賄がかねてより煩雑に起こっていたイタリアですが、賄賂を意味するtangenteと、ギリシア語を語源として町を示す語尾のpoliから出来た合成語tangentopoliという言葉が十数年前に使われ始めました。贈収賄のはびこる都市を揶揄してできた表現ですが、今では辞書に載るくらい盛んに使われる新語となりました。





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