イタリア語翻訳 ( 日本語 ⇔ イタリア語 )、ネイティブチェック、和伊 ( 伊和 ) 翻訳


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伊和翻訳における意訳

ステンドグラス
By David
Spender (CC)


イタリア語翻訳に限った話ではないのだが、伊和翻訳および和伊翻訳のときに、それぞれの言語が使われている国独自の言葉をどう訳するかに知恵を絞る必要を感じるときがある。  

たとえばお好み焼きだ。これを文字通り、お好みのものを焼いた、というように捉えることはあるまい。あまりに有名な食べ物ゆえに、これが何かはすぐにピンとくる。日本に行って実際に食べたことのあるイタリア人の友人は、pizza giapponese、すなわち「日本のピッツァ」と呼んでいた。 しかしお好み焼きもピザも正確にイメージすることができる日本人なら、お好み焼きを称してピッツァと呼ぶには抵抗を覚える向きもあろう。むしろ日本風のピッツァなら、しょうゆ味であるとか、日本の食材を使っているべきとか、そういう印象を受けるかもしれない。あるいはイタリア人でお好み焼きをまったく想像できない向きにも、ちょっと特殊なトッピングのピザというイメージを抱かせる表現かもしれない。

こういった些細な過ちを防ぐ方法としては、伊和翻訳表現としてOKONOMIという日本語をそのまま使い、小麦粉とキャベツをベースに肉やエビなどを混ぜて鉄板で焼いたもの、と注釈をつける意訳が有効だ。どうしても日本語をそのまま使いたくないのであれば、フライパンで焼くピッツァ状の小麦粉焼きとでも呼ぶしかないが。

先日はCassazioneをどう呼ぼうかで少し頭を使った。これは控訴院の判決の破棄や差し戻しの権限を持つ裁判所のことで、破毀院と言うのがその正式名称となる。しかし文字通りのその訳語を使うと、日本人にはどのランクの裁判所かわかりづらい。日本で同様の機能を持つ裁判所は最高裁判所が相当する。ではCassazioneを最高裁判所と伊和翻訳してしまってよいものかどうか。逆のケースでは、日本の最高裁判所をイタリア語翻訳するとしたら、これは字義道理の表現で「最高の司法当局所」と訳することも多い。だがそれをイタリア人はすんなりと理解できるものだろうか。

結局は翻訳を依頼するものが、何を求めているのか、が意訳の範囲を決定することになるのだと思う。係争問題の伊和翻訳で、より正確な表現を求めているのであれば、破毀院という言葉をそのまま使いつつ、注釈でこれは日本の最高裁に相当することを補足するのが適切であろう。小説の中でちょっとした話題で出てくるような箇所ならば、読み手が理解しやすくなじみのある言葉に意訳するほうが親切であろう。

ただこうした意訳をするためには、翻訳者自身に一定の知識が求められるのは当然だ。今川焼きを知っていても、太鼓焼きだの三笠だの千成だのと言われて、それが実はほとんど今川焼きと同じものであることを知っているのと知らないのとでは、意訳もあったものではない。


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イタリア語一口メモ  

イタリアに来る外国人が最初に耳にし、まず覚えなくてはならない単語は何でしょうか。イタリア人なら苦笑交じりにSCIOPERO(ストライキ)だと答えることでしょう。とにかくイタリアはストが多く、町の交通機関やフライト、病院や学校に至るまで、毎日のようにどこかでストが起こっている印象があるほどです。





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