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特許翻訳の特殊性

 
チャイナタウン
By David
Ludwig (CC)
 特許に関して発生する翻訳には、参考資料としての一般的な技術文書、特許庁から出願人宛に送られる指令書に対する応答書類を含め多種ありますが、特に考慮すべき点が多く、知識や経験、発注元との取り決めなどにより翻訳者によって仕事のやり方や翻訳結果が大きく異なるのは、出願明細書だと言われます。
 出願明細書には正確に技術内容を記載せねばなりませんが、単なる技術文書と違うのは、法律文書として、出願後の権利保護 ・ 行使を考慮し、なるべく権利範囲が広くなるよう、且つ拒絶を受けるような曖昧さを排さねばならないという点です。この際、出願先の国あるいは地域における特許法、法律としての条文化まではされていない各種慣例 ( プラクティス )、過去の判例などが問題となってきます。特許法自体は文書を手に入れて調べることは簡単ですが、実際の出願や訴訟に際しては、結局のところプラクティスや判例が問題となってくるので、やはり長年実務に携わって得られる知識に基づく翻訳をすることで出願人に対する経済的ロスが少なくなります。
 日英方向の出願明細書翻訳の場合、米国出願用が多いのですが、ここで特に米国用に関して記します。米国において、過去の判例というものは大きく影響してきます。米国法は成文法と判例法で成り立っていますが、他の特許との権利関係が問題となってくる場合、文章として成立している成文法以外に過去の判例が参照されます。翻訳に関わってくるような問題も過去の裁判で判例が出されており、これらを考慮して後に問題となりそうな用語は用いないようにすることが肝心なのですが、ここで一筋縄ではいかないのが、判例というものは、過去にある件に関する判例が出されており、ある特定の件がその過去の件に類似である場合でも裁判で同じ結果が出るとは限らないことです。ある問題点・議題に対して裁判官たちの判断が相反する考え方にまっぷたつに分かれるということもあるほどです。ほかの分野での裁判同様、個別の件による特殊性があるという背景のもと、判断する側の人間の考え方、哲学にばらつきがあるからです。その意味において、はっきりとした答えがないまま、業界の大きな動向としてある用語や記載の仕方が広く行われているというようなことがままあります。
サンフランシスコの町並み
By David Ohmer (CC)
 また、出願明細書には米国用に限らず請求項 ( クレーム ) という部分があるわけですが、日英方向の翻訳の場合、日本国内での出願をもとに外国出願をすることが多く、この場合、日本用の請求項の記載の仕方は日本の特許法にのっとっているので、外国出願用のクレームにするには、その国の特許法の規定に合わせねばなりません。この際、請求項の文言のうち、どこまでが先行技術でどこからが新たな発明の部分になるのか、という点についての扱いが国 ・ 地域によって違いがあり、これが請求項の翻訳を特許以外の技術文書の翻訳とは性質の異なるものにしています。単に書いてあるとおりに言葉を置き換えるだけの翻訳が発注元に求められているならそのような訳文を納品すればいいわけですが、完成された出願明細書として納品しようと思えば、どこからどこまでが従来技術なのかを判断するために今回の発明の該当する技術分野の中での位置づけを理解する必要がありますし、特にどの点 ( 競合他社の技術など ) が気になっているのか、という特許を取得しようとしている立場の人間にしか分からない事情を知る必要があるケースもあるでしょう。
 このように、特許明細書の翻訳の場合、業界において見解が分かれているような語や記載の仕方に対して、あるいは、請求項の記載の仕方についてなど、扱いを発注元と打ち合わせが必要な点が多くあります。これが一般の技術文書の翻訳と異なる点です。発注元が最初にこのような各種の 「 方針 」 を翻訳者に示すと、翻訳者の迷いや作業の無駄が減るかと思います。


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