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法律関係文書と法律英語翻訳者に求められる資質

家族の絵
By Whole Wheat Toast (CC)
法律関係文書を翻訳 ( 法律翻訳 ) する場合に求められる資質を一口で言い表すとすれば、それは 「 法律の概念をしっかりと理解していること 」 に尽きると言えます。先ず、その専門分野での基礎知識がしっかりと確立されていることが法律翻訳の前提条件となります。その上で、翻訳する言語の両方の言葉 ( 英語と日本語 ) の持つ歴史的背景や文化的な違い等の特質 ( 深み ) をよく理解していることが大切です。日常に於いて、「 語学の能力がある 」 という言い回しが使われる機会が多いように見受けられますが、あまりにも抽象度合いが高い表現であるのではと考えています。これは、語学を学ぶという次元では、このようなひとくくりの表現 ( 言い回し ) も的を射ているかも知れませんが、語学技能を実務で使うという実践の次元では、あまりにも乱雑な表現であると言えるでしょう。それはすなわち、語学技能を実務で使うという次元では、それぞれの分野に於ける資質というものがきめ細かく求められてくるようになるからです。言語を使うという実践の次元では、言語能力をひとくくりにするのではなく、正確にその能力を分類する必要が生じてきます。日常会話ができる言語能力、同時通訳をする言語能力、多言語を自由自在に操る言語能力、ビジネスに求められる言語能力、文学的表現に於ける言語能力、専門的表現 ( ここでは法律翻訳 ) に於ける言語能力等々、それぞれの分野に於ける特殊な能力 ( 資質 ) が要求されます。例えば、同時通訳をする語学能力一つをとって見ても、学術関連の同時通訳であるのか、スポーツ関連の同時通訳であるのか、外交関連の同時通訳であるのかによって、求められる資質が大きく異なってきます。

さて、法律関係文章を翻訳 ( 法律翻訳 ) する場合に、基本的に求められる法律翻訳者の資質の要素を次に列記してみましょう。

1) 「 法律の概念 」 を理解していること

法律とは何かを理解していること ( 法学の基礎が理解できていること ) が法律翻訳に携わる翻訳者の資質として挙げられます。大前提として、法律には論理的な思考方法が要求されます。論理的な思考展開が法律関係文章の文脈の根底に大きな要素として存在するということを常に留意する必要性が法律翻訳に求められます。特に 「 契約とは何か 」 の法律的概念をしっかりと理解できていることが必要です。それは、契約概念の論理的な応用 ( 積み重ね ) が法律関係の文章であるといっても過言ではないからです。法律関係文章の根底には契約の概念が常に幅広く存在します。法律の基礎知識が豊富であれば、自ずと英語による法律文章、日本語による法律文章の中に含まれている論理的な要素 ( 契約の要素 ) を見抜く力が身につきます。この論理的な要素 ( 契約の要素 ) をいかに的確に自然な翻訳の言葉に置き換えていくのかが法律翻訳に携わる翻訳者には求められます。

2) 「 法律的な視点 」 で理解していること

シャチと人
By Dmitry Sumin (CC)
一つ一つの言葉を逐語的に訳すのではなく論理的な要素 ( 意味 ) を訳すことが明瞭な訳文に求められます。その為には、全体の文章の中で、何故、その一つ一つの文言が書かれているのかの主旨をはっきりと法律的な視点 ( 論理的な視点 ) から理解することが必要です。文章の一つ一つが全体の流れの中で何を規定しようとしているのかその核心 ( 契約の要素 ) を、すなわち論理的な流れを法律的な視点 ( 契約の要素としての論理的な展開 ) で把握することが法律翻訳には求められます。また、法律的な視点で理解するには長年の学術体系の中で培われてきた法律文章の形式 ( format ) をしっかりと頭に入れておくことが必要となります。特に、契約書関連の法律翻訳では、この形式 ( format ) を的確に把握しておくことが法律翻訳者の資質となって明確に表れます。

3) 「 翻訳技術 」 を身につけていること

最終的には書かれている言葉 ( 単語 ) の持つ意味をすべて網羅するようにして訳さなければなりません。特に、英語的慣用句、日本語的慣用句は、簡単な単語一つによってその表す意味が大きく異なることがよくあり得るので注意が必要です。すなわち、法律翻訳に於いては何一つ付け加えず、また、何一つ省略せずに、あるがままに訳します。ただ、逐語的に翻訳するのは避け、法律的な要素を理解し、法律的な視点で訳していきます。意訳は的を射た表現の場合だけに留めます。法律関係の文章 ( 法律翻訳 ) では文学的表現は避け、論理的表現だけを選びます。必要な専門的用語はその意味を一つ一つ正確に定義 ( define ) し把握しておきます。日本語と英語の表現の違いから便宜的に生じる類推 ( 推測 ) の訳はでき得るかぎり控え、確実に論理的な要素 ( 契約の要素 ) を理解 ・ 把握した上で法律翻訳作業に入ることが肝要です。これらの翻訳技術を多くの経験に基づいて身につけておくのも資質の一つです。

法律関係文書の翻訳者 ( 法律翻訳 ) の資質としては、以上の3つの要素が挙げられるのではないでしょうか。これらの要素を身につけるには、法律の基礎知識に加えて、英語の法律文章と日本語の法律文章の両方に研鑽を積み重ねておくことが法律英語翻訳者には求められます。


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