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契約文書 ( 国際契約 ) の翻訳に求められる資質

花嫁
By Hahn Family Wines (CC)
翻訳の基本原則は 「 何もつけたさない、何もさしひかない、勝手な解釈はしない 」 ということに尽きます。一見、シンプルで当たり前のように受け止められがちな響きがありますが、この翻訳の基本原則を実現させるには、画一的な翻訳手法では到底うまくいきません。何故ならば、翻訳の対象となるそれぞれの言語 ( 英語 ・ 日本語 ) は、長い歴史に亘ってそれぞれの文化や慣習の中で影響を受けながら、あるいは影響を及ぼしながら、それぞれの人々の英知によって培われてきたものだからです。従って、翻訳をする人は、各々の言語が持つ文化的 ・ 慣習的な背景が異なることを十分に認識し、それらに基づく行動 ( 生活 ) 様式、思考方法等々に深く影響された特有の表現方法や言い回しがそれぞれの言語に於いて創りだされているという事実を正しく認識しておく必要があります。もう少し具体的に言えば、日本語の中で使われる場合には意味がある言葉であっても、英語に機械的に変換すると何の意味もなさなかったり、誤解を招く原因になったりする場合が多々あるということです。例えば、「どうぞ宜しくお願いします」という言い回しは、日本語の中では頻繁に使われますが、それをひと言で英語に直そうとすると途端に行きづまってしまいます。このことは、この言い回しが日本の文化・慣習の中だけの人間関係の中から生じてきたものであるからに他なりません。このようなその国の文化・慣習に根ざした言葉や言い回しは枚挙に遑 ( いとま ) がありません。英語と日本語を比較した場合に見受けられる、そのような特有の表現方法の違いというものを、数多くの豊富な文例 ( パターン ) を通じて言葉の感覚として習得しておく必要が翻訳者の資質として求められると考えます。

翻訳に関る一般論としての考えを上述の部分で述べましたが、このことを踏まえてここでは特に、「 契約文書 ( 国際契約 ) の翻訳 」 に携わる人 ( 翻訳者 ) に求められる資質について思い当たることを幾つか挙げてみます。

1) 法律的な解釈の英語

いるか
By Eyeliam (CC)
普段は見慣れている英単語でも、法律的には違った専門的な解釈がされる場合が多々あります。ちょっと詳しい英和辞書を手にとってページをめくればすぐに気がつくことですが、普段、頻繁に使われている英単語でも、その意味を丁寧に追っていくと、「 法律用語 」 としての解釈・意味が別に定義されています。( 英文 ) 契約書の翻訳に携わる場合、一つひとつの英単語や英熟語の意味を法律用語としての母国語 ( 日本語 ) に置き換えて定義する ( define ) 訓練の積み重ねが要求されます。特に、契約書の場合、主観的である修辞的な紛らわしい言葉や無駄な言葉は、契約という本来の目的にそぐわないために省かれます。要素 ( element ) としての言葉のみが効果的に使われることになりますので、それらの言葉を自国の言葉に置き換えた場合の意味を一つひとつ厳格に吟味する作業の積み重ねが翻訳者の資質として要求されます。

2) 法律的な思考 ( 論理性 )

理想的には法律関係の資格を持っていること、またはその資格を目指して勉強していること( 法律の実務関係に携わっていること )が望ましいと言えます。ある一定のパターンの法律用語の和文 ・ 英文に於ける言い回しを日々積み重ねて学習していくことも勿論大切ですが、実際に法律関係の資格を持っていること、またはその資格を目指して日々、勉学を積み重ねているということも、契約文書 ( 国際契約 ) の翻訳に従事する場合、より有利な資質として還元されると考えます。 多くの英文 ( 和文 ) 契約書に接した豊富な経験を持っていること、数多くの英文( 和文 )契約書に接するということが契約書の翻訳には大切な要件となりますが、それだけに留まらず、「法律的な思考 ( 論理性 )」 を法律関係の勉学を通して、身に付けておくことも契約文書の翻訳者に求められる大切な資質として挙げられると考えます。

3) 契約書の書式

契約書には必要不可欠なある一定の条項 ( provisions ) を含んだ書式があります。契約書の目的 ・ 種類によって、その条項 ( provisions ) の内容や組み合わせが異なりますが、各契約書に共通の条項も存在します。「 法律用語 」としての解釈 ・ 意味に於いて一つひとつの英単語や英熟語の意味を法律用語としての母国語 ( 日本語 ) に置き換えて定義する ( define ) 訓練が必要であるように、数多くの契約書を通して、それぞれの契約書の目的 ・ 種類に応じた条項 ( provisions ) を含む英文 ( 和文 ) 契約書の書式のパターン ( pattern ) に精通しておく訓練が契約文書の翻訳者の資質として要求されます。

4) 国際ビジネスの豊富な経験

かもめ
By Vlad Butsky (CC)
国際ビジネスに豊富な経験を持っていることは必須条件ではありませんが、望ましい資質といえるでしょう。国際ビジネスに豊富な経験を持っていることで、契約書で規定されている内容の背景を具体的に把握することが可能となります。ビジネスが成立すれば、そこには必ず契約関係が生じます。つまり、実際のビジネスで契約締結に至るまでの過程を豊富に経験していることによって、あるビジネスの展開がどのような内容の契約書となってまとめ上げられるのかということを細部に亘って具体的に把握できるようになり、契約文書を翻訳する場合にも必ず役立つと考えます。

5) 日本語と英語

翻訳者は英語の研鑽も日々の課題として積み重ねる必要がありますが、日本語の研鑽も日々、読書、作文を通じて行う必要があります。すなわち、英語に堪能であると同時に日本語も堪能であることが、翻訳者には当然のことながら求められる資質なのです。ここで言う資質は、契約書の翻訳の場合には、法律用語や法律的な表現に馴染むという日々の研鑽が求められることにつながります。上述に挙げた4つの資質の集大成の賜物に加えて、なおかつ言葉の持つ感覚を研ぎ澄ます日々の研鑽が翻訳者の資質には大切であると言えでしょう。


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