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新聞 ・ 雑誌記事の翻訳は訳者の役者ぶりが試される

ジャズ
By Jason Scragz (CC)
  私は過去4年間、語学学校の日英翻訳クラスで新聞や雑誌の翻訳を学んできました。今までに授業の中で訳した記事を挙げたら、単純計算でも120種類以上になります。その内容 ・ 分野も多岐にわたっており、政治や経済、国際情勢、知的所有権や金融といった硬派な内容から、人気のある日本料理店や新しい化粧品、人気イラストレーターの紹介記事など様々です。
  こういった翻訳経験を経て、私が学んだのは、記事の翻訳とは正に、翻訳者のセンスや技量が試されるということです。つまり、それぞれの記事の内容や分野によって、臨機応変に、自由自在にいくつものスタイルを使い分けることができなければならないということです。言わば、訳者の役者ぶりが試されるのです。
  流行のファッションについての記事を訳すのに、堅苦しい英文を書いたらその記事の宣伝効果や雰囲気は台無しになってしまいます。逆に、深刻な経済危機の記事に対して、軽い語調のスタイルを使ったら、これもまた問題外です。個々の記事の原文が持っている雰囲気をそのまま伝えられるような、柔軟な対応能力が要求されます。
  また、日本語記事を英訳する場合、日本の執筆上の慣習やルールと英語でのそれとの違いについても知っておく必要があります。例えば、日本語では普通、新聞や雑誌にある人物を登場させるとき、名前の後に( )を付けて年齢を明記するのが一般的です。ところが、英文記事の場合、一般的なルールとして年齢を必ず付け加えるということはありません。もし日本語の場合と同じように年齢を付け加えたとしたら、そこにはあえて年齢を明記する理由があるはずです。例えば、以前アメリカの某有名スポーツ雑誌で、数々の熱狂的なサーファーがハワイの危険なサーフスポットに挑戦し、これまでに死者もでているという内容の記事を読んだことがあります。その記事では、何人もの有名なベテランサーファーについて書かれていますが、そのサーファーたちの名前の後にそれぞれの年齢 ( 全員40歳代 ) が明記されていました。この場合、かなり高齢といえる年齢であるにもかかわらず、勇敢にも危険なサーフスポットに挑み続けるそのチャレンジ精神に賞賛と驚嘆の意を表す、という意図を持って年齢が付加されているといえます。もし、この記事の日本語訳があり、そこにこのサーファーたちの年齢が明記されていたら、それを英訳したときにも年齢を明記することには十分意味があり、違和感はないのです。
  さらに、ジャーナリスティックな記事、特にニュース記事を英訳する際には、英語のジャーナリスティックな記事の基本構造についても知っておく必要があります。ニュース記事の場合、日本語での場合もそうですが、最初の段落でその記事の概要、つまり、5W1H( Who, When, Where, What, Why, How: だれが、いつ、どこで、なにを、なぜ、どのように )を説明し、以降の段落でそれぞれの項目についての詳細な説明が加えられます。したがって、ニュース記事では、最初の段落だけを読めばその記事の大まかな内容を知ることができるように書かれているので、以下の説明を読まなくても要点はつかめるようになっています。この特性をうまく利用すれば、臨機応変な英訳が可能になります。どういうことなのかといえば、最初の段落の中で何と訳せばいいのか言葉が浮かばなかったとしても、以降の説明を読み進んでいくことによって、最初の部分で分かりにくかった表現も意味が明確になってくるということです。そうすれば、より適切な訳語を当てることができます。また、必ずしも原文に一寸たりとも違わない順番で訳さなければいけないということもありません。最初の部分の記述と後の詳細な内容をうまく汲み取りながら、臨機応変に言葉を選んでいくこともできます。
  例えば、今までに訳したことがある雑誌記事で、「 知的財産高等裁判所 」 という新しい組織についてのものがあります。この記事は、第一文で、次のような書き出し方をしています。
   「 この度創設された 『 知的財産高等裁判所 』 は、ある意味で、日本の知的財産政策のシンボルともいえるものです。」
クッキー
By James (CC)
  この部分で、「 ある意味で 」という表現が曖昧な意味合いであり、直訳してin a senseなどという英訳にすると幾分不親切な訳になってしまいます。しかし、この記事を読み進んでいくと、後半部分で、この新設された裁判所が日本の知的財産戦略の最前線に立つことが期待されている、という記述があります。この記述により、「 ある意味で 」 という日本語がどんな意味合いで使われているかが分かります。そこで、例えば…is expected to be the symbol of Japanese IP policyというような表現にすれば明確な英訳ができます。
  以上、新聞 ・ 雑誌翻訳のポイントについて概説的に述べてきましたが、このタイプの翻訳は訳者の力量が試されるその半面で、だからこそよりやり甲斐があるとも言えます。






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