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情報セキュリティと責任 ( 翻訳の観点から )

海の夜景
By Mike Fernwood (CC)
言語というものは、文化を映すものであり、翻訳は文化的背景に配慮しないと良いものにならないということは、色々なテキストを訳していて感じることです。
 食文化の違いに起因するものは、比較的分かりやすいところです。欧米は麦が主食であり、麦を表す多くの概念があります。Wheat ( 小麦 )、barley ( 大麦 )、rye ( ライ麦 )、oat( オーツ麦 ) などです。
面白いことに、日本語にある麦の概念(総称としての麦)は、英語にはありません。「 蛍の光 」=Auld Lang Syneで有名なロバート ・ バーンズの作詞の 「 誰かさんと、誰かさんが、麦畑 」( 「故郷の空 」=Comin' Through the Rye ) の歌の麦畑は、ライ麦畑ですが日本語の歌詞では見事に分からなくなっています。
 情報セキュリティの世界でも同様に日本語訳で区別がつかなくなっている言葉があります。それは、「責任」という訳語です。西欧では、やはり、個人の役割を明確にしようという傾向が強いのでしょうか、責任にも英語では色々種類があるのです。まず、第一に、Responsibilityという責任ですが、これは、Roles and Responsibilities ( 役割と責任 )のように使われることからも分かるように、何らかの作業を履行する場合の責任です。情報セキュリティ運用上の例を挙げれば、ウェッブ・サーバーに修正パッチを適用する場合の、システム管理者の責任です。次に、Liabilityという責任です。この責任は、法律や規則などに従わなければならない責任です。PL法 ( 製造物責任法 ) のPLは、Product Liabilityの頭文字に由来しています。すなわち、この責任は訴追されて賠償問題となるようなものです。そして、最後にAccountabilityの責任です。これは、説明責任と和訳されます。端的に言うと、セキュリティ事故を起こした時の記者会見で頭を下げる人たちの責任です。すなわち、最終的に組織を代表して、外部に組織の立場、行動、対応などを説明する人の責任です。企業であれば情報セキュリティ最高責任者 ( CISO=Chief Information Security Officer ) と呼ばれる人であり、多くの場合、役員が担当します。
かぼちゃ
By Kevin Stanchfield (CC)
 これらの責任の概念は、情報セキュリティ・マネジメント規格IS17799:2005では、再三再四登場します。Responsibilities and Liabilitiesなどの記述もあり、2005年度中に発行される予定の、JIS規格でどのように翻訳されているかも、今から楽しみです。JIS規格で、訳語が決まると、それに合わせて翻訳作業も行うことになります。
 責任の概念が少ないからといって、日本人に責任感が無いとは思えないのですが、責任を玉虫色にして、あいまいにするのも、日本人の処世術なのかもしれないと思ったものです。







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