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「 英日、日英技術翻訳の意外な落とし穴 」

サボテンの花
By Randy (CC)
技術者のはしくれとして定年後始めた特許翻訳なので翻訳者としての経験はまだ2年足らずです。和文英訳としての技術翻訳、産業翻訳もやりたいのですが、クライアントに恵まれず今の所、英日、仏日訳に終始しています。これまでの乏しい経験で不思議に感じることは、仏日訳に手こずることは殆どないのですが、何故か英日に手こずることがしばしばある点です。この原因は、クライアントに改めて確認したことはないのですが、私の憶測するところでは、恐らく依頼された訳 ( 元 ) 文が原文ではなく、母国語原文の英訳文なのではないかと感じています。

何を手こずるかと言えば、そもそも英文の技術的内容の理解に手間取るのです。まずは構文が通常の英文では見られない構文がよく見られるので疲れますし、普通の単語にしても、技術用語にしても文脈からして技術的理解に苦しむ部分がいくつか必ず出てくるのです。そこで、この時に、まてよ、原文が仏語だと仮定して通じない部分のなぞを解明するとどうなるかと考えてみるのです。こうすると、不思議に疑問が氷解する場合が多いのです。従って、これが、私のつたない経験から訳 ( 元 ) 文が既に原文ではないと思う最大の根拠なのです。英語と仏語には見かけは同じ単語なのですが意味が実質的に微妙に、あるいは全然異なる単語が結構あります。この違いを踏まえて誤訳あるいはそこまで行かなくても不適切な訳の可能性を追求してみるのです。

こんなことなら、いっそのこと英文でなく原文 ( 仏文 ) で依頼してくれればこちらが楽できて良いものをと一瞬思うことがあります。ところが、よくよく考えてみれば原文が仏文ばかりとは限らないと気が付くのです。しかし、それにしても不合理なことです。疑問の多い難解な ( 構文や解釈の ) 英文でも単価は変わらないからです。原文でない英文の翻訳は翻訳者泣かせだと思います。クライアントはこの点に留意して単価を決定するかまたは英語でない原文を探し当ててオリジナルである原文で依頼すべきではないかと思う次第なのです。

落書き
By A Syn (CC)
ところで、現役時代を振り返ってみますと、日本人にとってすら難解で、ひどい場合は意味不明な和文を書く人が多かった様に思います。特に技術者が書く文章には手前勝手なものが多かったのです。殆どの技術者は敢えて意識しない限り、読む人も自分と同じ技術分野の人と無意識に思って書くからです。従って、翻訳の対象となる和文は意識的に工業分野外の人でも理解できる和文にいわば事前翻訳してからでないと、普通の技術者が書いた和文は誰にでも的確に翻訳可能であるとはいえないことが容易に想像できます。

一方、どういう訳か今の日本の翻訳のクライアントの風潮はこうした原文としての和文の吟味よりも訳(先)文ネイティブによる訳にこだわると聞いています。的確な和文はネイティブの外国人に通用するけれども、あいまいな和文の翻訳はネイティブには簡単には通用しないと思います。この場合に唯一通用するのは和文のネイティブである日本人による翻訳しか通用しないのではないでしょうか。特許和文はそれなりの専門家のチェックが何回も入ると思われるので、このような心配は実際にはあまり無いと考えられますが、一般の工業翻訳や産業翻訳では十分にあり得ることだと思います。従って、発注者としてクライアントはこれらの点をわきまえて翻訳 ( 元 ) 文の提供、翻訳者の選定、単価の評価を行うべきではないのでしょうか。




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