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産業 ・ 工業翻訳
 ( インダストリアル トランスレーション )
専門知識は何処まで必要?

影
By Nonie (CC)
インダストリアル トランスレーション = 単純に訳してしまえば“産業 ・ 分野の翻訳”となりますが、この言葉でカバーされる産業の分野は受け取り方次第で範囲が極絞られたものとなったり、想像を絶する程の広がりを持つものとなったりもします。極論を言えば、インダストリアル トランスレーションの範囲にはサービス産業も含めた全ての産業分野が含まれると言っても過言ではないでしょう。

私が日常関わっている分野は小型機械製造なのですが、手持ちエンジン付き機械一台を作り上げるにも驚く程の分野が関係してきます。少しだけ拾いで出してみても、素材としてのアルミニウム、マグネシウム、鋼材、ナイロン、ポリエチレン等のプラスチック、ゴム、シリコン、紙、段ボール等が挙げられ、それらを加工・成型する全ての産業 ・ 技術、エンジン制御の為の電気 ・ 電子産業 ・ 技術、運転する為の燃料、オイル、等々が出てきます。これらを展開して行くと広がりは果てしなくなります。

さて、翻訳を行う時に、専門知識がどの様に係わってくるか私の経験からお話しします。勿論、色々な分野での専門知識を豊富に持っていれば、翻訳の精度、密度を上げることが出来ます。私の場合小型機械に係わる翻訳が多くなりますので、先ずは一般的な機械に関する知識、具体的に言うと個々の製品の機能、構成、性能等が必要となります。此処が分からないと先には進めません。今から語ろうとする機械が、誰に、どの様に、何処で使われるのかを理解することが第一段階です。

次には、何が出てくるでしょう。例えは、機械の要目性能( Specification )を語る時には何が必要でしょうか。 要目性能と言えば、機械の大きさ、重量、馬力、騒音値、振動値、等が係わってきます。大きさ、重量を語る時には単位が絡んできます。勿論その他の要素を語る時にも必ず単位が出てきます。これらの単位は原稿起案者が心配すれば良い部分なのですが、翻訳者も基礎的な知識を持っていれば原稿を理解するのが楽になると思います。JIS基本単位、ISO基本単位等の内容が分かっていると、やり易いと思います。又、騒音値、振動値等は国により扱い方、関心度( 重要度 )、規格が異なる場合があるので、専門知識と言うよりも要注意点という意識を持っていた方が良いと思います。注意意識を持っていれば、誤訳、解釈違いを避けることが出来ると思います。言うまでもなく、不確かな場合には原稿制作者への確認は怠れません。

その次は、機械の基本構成に係わる部分です。企業、業界、産業で特殊な表現を用いる場合もあるでしょうが、機械構成部品の一般名称、基本機能、一般的な形状は理解していなければなりません。例えば、軸受け一つをとってみても、ボールベアリング、ローラーベアリング、密閉型、開放型など、それこそ千差万別です。名称を聞いた時に、どんな形状か、どの様な機能を持つものかが頭に浮かべばしめたものです。又、成型・加工品の場合には、どの様な文章の翻訳であるかにより要求度は異なりますが、材料、成型方法( 例えば鋳造か鍛造か )、加工方法( 削り方、熱処理の仕方、絞りの入れ方、塗装の仕方、防錆処理、等々 )、精度の管理・表現方法、公差の入れ方等分解して行けば切りがありませんが大雑把にでも材料から部品としての完成型への行程が分かることが大切ではないかと思います。勿論、技術系の教育を受けた方であれば、この様なことは問題でもないでしょうが、文化系出身の翻訳者の場合、この辺りの専門知識と言うよりも基礎知識を身につけることが必要と思います。私の場合、文化系出身ですので、機械に関する知識は余りありませんでした。しかしながら、機械が嫌いではなかったので、開発部門、生産技術部門、工場にいる専門家を煩わせながら、知識を身につけて行きました。時代と共に成型方法、加工方法、組み付け方法等も驚く程の早さで進化しますので、先ず少しでも分からない部分は訊く、調べることが大切です。

翻訳者が、その分野の専門知識を身につけることは大切ですが、必ずしも深いものである必要はないと思います。それにまして、翻訳対象の産業分野に対する興味と出来るだけの一般知識を持ち、全体方向がぶれないようにすることが先ず肝心であると考えます。全体像が掴めれば、原稿中の主題となる部分、原稿制作者の述べたい内容を間違いなく掴むことが出来ますので、専門的知識を必要とする部分、専門的に表現しなければならない部分を見誤らないで済むと思います。一般的な翻訳者としては原稿を選ぶ訳にはなかなか行かないでしょうが、インダストリアル トランスレーションと言う分野を志す場合には、少なくとも産業の中から興味の持てる分野を絞り込み、そこで要求される基礎知識を先ず身につけ、専門知識を少しずつ増やして行くことで良いのではないでしょうか。
因みに、私の場合、JISの機械用語辞典を愛用し、機械専門用語の補足しながら、周囲の設計者を煩わせて居ます。


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