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オランダ語翻訳 オランダとベルギーで異なるオランダ語

男たち
By Toni (CC)

オランダ語は、オランダはもちろん、ベルギーでも公用語の一つとして使用されています。オランダ語翻訳の依頼において、原文のオランダ語原稿がベルギーのものかオランダのものかということを事前に知らされることはまずありません。ただ、「 オランダ語翻訳をお願いします 」 という形です。そのため、翻訳者は原文を直に見てみて、どちらの国の文書かを最初に判断することが重要です。もちろん、オランダ語は、オランダ、ベルギー以外に、南米の国スリナムなどでも使用されていますが、経験上、オランダ語の翻訳原稿は、ほぼオランダのものかベルギーのものです。

ベルギーでは、南部のワロン地域がフランス語圏、北部のフランデレン地域がオランダ語圏です。産業が活発なアントワープや国際機関が集まるブリュッセルなど主要都市は北部にあり、日本企業が多数進出しているのも北部地方とあって、オランダ語から日本語への翻訳を依頼されると、ベルギーのオランダ語文書であることがかなりの確率で起こります。

ベルギーのフランデレン地方で話されているオランダ語 ( フラマン語とも言う )は、学術的にはオランダ語の方言の一つと分類されています。オランダのオランダ語とベルギーのオランダ語はほぼ一緒だから違いを気にする必要はないのではないかと思われるかもしれませんが、オランダ国側で制作されたTV番組を、ベルギーの国営オランダ語放送局が放映する際には、オランダ人の話すオランダ語に必ず字幕がつけられます。これは、第一にオランダとベルギーのオランダ語では、発音がかなり違うこと。第二にオランダ国でスタンダードな表現と、ベルギー国でスタンダードな表現が異なる場合があること。第三に、国家単位の話ですので、ベルギーではベルギー式オランダ語 ( フラマン語 ) が正当であるという立場であり、オランダではオランダ式オランダ語が正当であるという立場にならざるを得ないからだと言えます。

このことからもわかるように、オランダで使われるオランダ語と、ベルギーで使われるオランダ語の標準語は異なるということを意識して、オランダ語翻訳に取り組む必要があります。

オランダ語とベルギーのオランダ語 ( フラマン語 ) の違いは、主に発音と語彙・表現にあります。発音の違いは、通訳ならいざ知らず、オランダ語の翻訳においてはあまり大きな問題にはなりませんので、このオランダ語翻訳エッセイでは語彙・表現レベルでの違いについていくつか例をご紹介します。

オランダ語では、フランス語や英語から借用した単語が多く存在します。ある事柄を言い表すのに、ベルギーでは、フランス語圏が近いだけあって、フランス語からの借用語が使われており、オランダでは、英語から影響を受けた形の語が使われることがあります。これは、日本語からオランダ語へ翻訳する際に最も気をつけなければならないことの一つになります。

例を挙げますと、代表的な軽食の「ハムとチーズのトーストサンドイッチ」をオランダ語に翻訳すると、オランダでは 「 tosti 」 という語が、ベルギーでは 「 croque-monsieur 」 という語が適訳となります。同様に、「 憂鬱な、陰気な 」 というオランダ語は、オランダでは一般的に 「 somber 」 ですが、ベルギーでは 「 morose 」 の方が語感が良い場合が多々あります。また、オランダのオランダ語では、英語をそのまま使用しているのに対し、ベルギーのオランダ語圏では英語 ( またはフランス語 ) をオランダ語化して使用している例もあります。この例としては、「( コンピュータなどの ) パフォーマンス」を、オランダでは 「 performance 」 を用い、ベルギーでは 「 performatie 」 を使う例が挙げられます。

また、二人称単数及び複数の主格代名詞 「 gij 」 は、オランダのオランダ語では、英語の 「 thou 」 に相当する 「 なんじ ( ら ) は 」という意味で、古めかしいニュアンスがあります。しかし、ベルギーではこの語が日常的に使われ、「 あなたは 」「 君は 」「 あなた達は 」「 君らは 」といった気軽なニュアンスで使われています ( ベルギーに近いオランダ南部でも一部使用している地域があります )。この 「 gij 」 の使用法を知らないオランダ北部の若者が旅行先のベルギーのカフェで、「 gij 」 を使って話しかけられてびっくりするなんてこともよくあるそうです。この 「 gij 」 にあたるオランダのオランダ語は、「 je ( 単数 )」「 jullie ( 複数 )」になります。

最後になりますが、同じ意味もしくは同様の事柄を指すにもかかわらず、オランダ政府とベルギー政府はそれぞれ異なる公的な専門用語を使う場合があります。これは、もちろん国家が違うので当然のことと言えますが、オランダ語、日本語間の翻訳の際には特に注意を払うべき点となります。例としては、 「( 国会の ) 上院及び下院 」 にあたるものが、オランダ国の組織名称では 「 Eerste en Tweede Kamer 」 で、ベルギー国では 「 Senaat en Kamer van Volksvertegenwoordigers 」 です。また、オランダもベルギーも国家の行政単位の一つとして 「 provincie 」( 日本語では 「 州 」)を採用していますが、この 「 provincie 」 の長にあたる役職名がこの両国では異なり、オランダでは 「 commissaris 」で、ベルギーでは 「 gouverneur 」 です。

上記に挙げた例以外にも、オランダとベルギーのオランダ語翻訳において、気をつけなければならない相違点がたくさん存在します。オランダ語翻訳者の観点からすれば少々厄介ですが、オランダ語がオランダの国だけの言語でないことがゆえに、オランダ語の多様性と柔軟性が生まれ、勉強すればするほど面白い、奥行きのある言語となり得るのでしょう。



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