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イタリアの苗字と名前

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By Greta Lorenzetto (CC)


イタリアに限らず、日本と同じようにどんな国でもかつては多くの国民が苗字というものを持っていませんでした。苗字を見ればその人の家系が由緒あるものなのか、ある時期に識者や長老が半ばいい加減に名付けたのか、それらがわかって面白いものがあります。これらは日本人の苗字でも同じことが言えます。普段、日本人が何気なく使っている苗字にしても、山田さん、石川さん、井上さん、中森さん、などなど自然環境をそのまま取り入れたものがあっても、その人をイメージするときに実際に漢字の意味を考えたりはしません。同じようなことがイタリア人の苗字でも起きているのですが、なかなか多彩な苗字が多く、これらの意味を調べるだけでかなりイタリア語の実力がついてくるくらいです。以下、例としていくつかの苗字を掲げてみます。キリがありませんから、ルネサンス期の画家の名前を参考にしました。

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ(da Vinci):「ヴィンチ出身の」。出生が謎めいていて、父Ser Piero の私生児として産まれたから正式な本名は不明です。ちなみにイタリア人は彼のことをダ・ヴィンチとは呼ばず、親しみを込めてレオナルドと名前で呼びます。

  • ヤコポ・ベッリーニ(Bellini):「かわいい、気取った」。自画像を見ても、とてもそうは思えないところが愉快です。

  • ヴィットーレ・カルパッチョ(Carpaccio):「ひどい鯉」。ちなみに前菜で出るイタリア料理の薄切り肉のことをカルパッチョと呼ぶのは、彼が薄切りにした野菜を好んでよく食べたことが起源となっています。

  • ルカ・シニョレッリ(Signorelli):「小紳士」

  • アンドレア・デル・サルト(del Salto):「仕立て屋の」。家の職業だったのでしょうか。

  • パオロ・ウッチェッロ(Uccello):「鳥」。彼の作風が西洋のマンガの基礎と考える人も少なくありません。

  • サンドロ・ボッティチェッリ(Botticelli):「小樽」。元々は別の苗字でしたが、父を亡くし、家長となった彼の兄が丸々と太っていて樽のようだったからという説があります。

  • フラ・アンジェリコ(Angelico):「天使のような」という意味。本当は苗字ではなく、本名はGuido di Pietroといいますが、通称が有名となっていますので参考まで。

  • ドメニコ・ギルランダイオ(Ghirlandaio):「花輪売り」。彼も本名はDomenico Bigordiですが、通称で呼ばれるのが一般的です。

  • ペルジーノ(Perugino):「ペルージャの人」。本名のPietro Vannucciを知る人は、おそらく地元ペルージャの人たちだけなくらい、この通称が有名です。

これらの苗字はまともなほうといってよく、Balbo(吶音で話す人)、Schiavi(奴隷)、Beviacqua(水飲み)などという苗字から、Altobelli(背が高く美しい)、Conte(公爵)、Felici(幸福な)などいう苗字まであります。また祖先を想像させるようなTedesco(ドイツ人)、Spagnoli(スペイン人)などという方もいらっしゃいますし、中には極めつけのItaliano(イタリア人)、Maccheroni(マカロニ)、Lasgna(ラザーニャ)という苗字まであります。日本で言えば、日本人さん、饂飩さん、蕎麦さんといったところでしょうか。

名前につきましてはカトリックの聖人に因んだ名前が圧倒的に多いです。日本のように折に触れて奇抜な名前や新造の名前が流行することはありませんし、古くは長男が生まれたら男系直系の祖父の名前を名乗らせることも一般的でした。

男性の名前でよく見かけるのはキリストの12弟子の名前です。Pietro(ピエトロ。日本語ではペトロ)、Giovanni(ジョヴァンニ。同ヨハネ)、Andrea(アンドレア。同アンデレ)、Giacomo(ジャコモ。同ヤコブ)、Filippo(フィリッポ。同ピリポ)、Matteo(マッテオ。同マタイ)、Simone(シモーネ。同シモン)、Taddeo(タッデオ。同タダイ)、Bartolomeo(バルトロメオ。同バルトロマイ)といった名前を持つ男性はそれこそイタリア全土のどこにでもいます。ただしさすがに縁起が悪いと考えらえるせいか、Giuda(ジュダ。同ユダ)と名付けることはないようですし、畏れ多いと考えるためか、Gesu(ジェズー。同イエス)という名前の男性もいないようです。その代わりイエスのことを指す救世主という意味のSalvatore(サルヴァトーレ)という名前なら使われます。

尚、もっとも多い男性の名前というわけではないのですが、イタリア人にとってもっとも一般的と考えられている名前はGiuseppe(ジュゼッペ。同ヨセフ)です。このため名前がわからない男性に声をかけるときなど、ジュゼッペと呼ぶことが多いです。ただし文章中で「誰それ」と表現するときは、Il signore tal dei taliと言います。

女性の名前も聖女に因むものが多いようですが、元々が男性の名前だったものを女性形に転じたものが目につきます。これはイタリア語の特性で、男性名詞の多くがアルファベットのOで終わり、女性名詞の多くがAで終わることを名前にも応用したものです。例えばAntonio(アントニオ。男)→ Antonia(アントニア。女。以下同じ)、Emanuele(エマヌエレ)→ Emanuela(エマヌエラ)、Alessandro(アレッサンドロ)→ Alessandra(アレッサンドラ)、Enrico(エンリコ)→ Enrica(エンリカ)、Carlo(カルロ)→ Carla(カルラ)、Claudio(クラウディオ)→ Claudia(クラウディア)、Paolo(パオロ)→ Paola(パオラ)、Giogio(ジョルジョ)→ Giorgia(ジョルジャ)、Federico(フェデリコ)→ Federica(フェデリカ)、Franco(フランコ)→ Franca(フランカ)、Francesco(フランツェスコ)→ Francesca(フランツェスカ)、Roberto(ロベルト)→ Roberta(ロベルタ)などが有名ですが、例を挙げたらきりがありません。

女性の名前でこのほかに多いのはLaura(ラウラ)やMaria(マリア)などで、学校や職場などで必ずといっていいくらい一人はいるほどです。

尚、男性名のMarioはMariaの男性形ではありません。また男性名のLucioと、女性名のLuciaも語源は別で、これらを示すかの如く、名前を発音するときにMario(マーリオ)、Maria(マリーア)、Lucio(ルーツィオ)、Lucia(ルツィーア)というようにアクセントの位置が異なっています。



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イタリア語一口メモ 

イタリア人の苗字にMoriというのがあります。ムーア人という意味で、本当に祖先がアフリカ出身の黒人だったのか、あるいは肌が特に黒かった人が名付けられたようです。モーリと発音するのですが、日本人の森さんの場合、苗字だけを見ていると生粋のイタリア人だと勘違いされることもあります。イタリア語翻訳でMoriという苗字だけが出てきたら、それは果たしてイタリア人なのか日本人なのか、少し考えねばなりません。





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