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ドイツ語から日本語への翻訳について

雪山
By Rene S. (CC)


私は現在フリーランス4年目の翻訳者で、ドイツ語から日本語への翻訳と英語から日本語への翻訳を行っています。仕事の割合はドイツ語 → 日本語の方が多いのですが、英語が極端に少ないという程でもありません。
そこで、これまでの 「 贅沢なふたまた経験 」(?)から、ドイツ語 → 日本語の翻訳にフォーカスを当てつつ英語 → 日本語との違いも交えて、少し書いてみたいと思います。

そもそも英語から日本語への翻訳作業と、ドイツ語から日本語への翻訳作業で顕著な違いはあるのでしょうか?また、もし違いがあるとしたら何が違うのでしょう?

最初にドイツ語と英語の構造的な違いを挙げると、まず名詞の性別があります。フランス語は女性名詞と男性名詞ですが、ドイツ語はそこに「 中性名詞 」が加わります。すべての名詞に性別があり、名詞の最初に性別を表す「 冠詞 」が付きます。
さらに、この冠詞には「 定冠詞 」( 英語で言えば”the”に該当します )と不定冠詞( 英語で言えば”a”に該当します )の2つがあり、複数か単数かに応じて使い分けがなされます。
これだけでも念入りだと思うのですが、その上「 がのにを 」に応じて変化をするので、何を指すのかに応じても使い分けがされることになります。名詞を形容する際はその形容詞( 「 赤い 」「 新しい 」など )も、名詞に応じて語尾変化します。主に複数形では名詞の語末も変化することがよくあります。多くは「 -en 」「 -e 」が付きます。
例: Eine blaue Blume ( 青い花1輪 )、Ein blauer Krawatte( 青いネクタイ1本 )など
例文 :“Maria hat Dieter zwei blauen Krawatten geschenckt.”( マリアはディーターに青いネクタイを2本贈った )

馬
By Steffen Hausmann (CC)
その他「 分離動詞 」という、動詞の前後が文の中で2つに分離する動詞 ( ein|kaufen 「 買い物をする 」、ab|schalten「 スイッチを切る 」 )や「 再帰動詞 」という、主語の3格または4格が動詞の後にくっつく動詞( melden sich 「 連絡をする 」 )など、「 何のためにこんなややこしいことを! 」と叫びたくなるような文法上の規則があります。また主文の動詞や助動詞は2語目に来るなど、文の順序もかなり厳密に決められています。日本語が母国語の私にとって、確かに習得は楽ではありませんでしたが、ドイツ語を教えてくれたドイツ人の先生方はとても辛抱強く反復練習をしてくれていたな・・と今になってしみじみ感謝しています。
話が逸れました。ところで実はこの細かい文法が、意外と翻訳作業には役に立つのです。
というのは、複雑な構造をもった文章の翻訳の際にはこのような語尾変化のルールが多くの解読/翻訳ヒントを与えてくれるからです。特に法的文書は長文 ・ 複雑 ・ まわりくどいの3拍子が見事に揃っており、1つのセンテンスが5〜6行に及ぶようなことも珍しくありません。そのまま日本語にするとかなり不自然で読みづらくなるこうしたセンテンスを一度整理し、「 日本向けの製品 」に整える際に、ドイツ語の文法は手助けとなります。例えば、どんなに長文で名詞だらけの文章でも、先に挙げた冠詞や名詞の変化を見ればその名詞が文章中に占めるポジションが一目瞭然なのです。単語だけで名詞の格を認識できるのは、英語とは異なる便利な部分です。厳密な規則が原文の意味内容を損なわず、かつ自然な日本語としてどこで区切り、どういう流れにするかを掴むヒントの役割を果たすことがよくあります。
一方、ドイツ語の柔軟性は言葉の連結で発揮されます。つまり、複合語といって名詞や形容詞、動詞をつなげて1つの長い単語を作ることが可能なのです。その単語1つが事実上ワンセンテンスになっていることも珍しくないため、これが1つのセンテンスに3つ以上入っていると、翻訳者である私のキーを打つ手がしばし止まることになります。英語ではあまりこういうことは起きません。

以上、ほんの入口の部分だけになりますが、少しでもドイツ語に興味のある方や独和翻訳に挑戦してみたい方のお役に立てば幸いです。


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ドイツ語一口メモ

 ドイツ語に特有の文章構成に枠構造と呼ばれるものがあります。これはたとえば、Ich trinke Bier.という文章がmüssenという助動詞を伴うとき、Ich muss trinken Bier.ではなく、Ich muss Bier trinken.というように、原形の主動詞が文末に移動する現象を指します。文章のもっとも重要な要素は主語と述語(動詞)ですが、これらが最初と最後に配置され文章全体を枠取るような形になるのです。こうした枠構造が現れるのは上の例のように助動詞が使用される場合に限られず、枠構造は関係代名詞や接続詞に導かれる従属文においても見られます。



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