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ドイツ語翻訳について思うこと

夜景
By Stephen Hanafin (CC)


 ドイツ語の文章と日本語の文章の違いは、なんといっても、ドイツ語では一つの文章が長いということでしょう。それは、一つの単語が長いということでもあります。名詞にかかる形容詞、また動詞などをすべてくっつけて1語にしてしまうのです。
 ドイツ語で書かれた文章を日本語に翻訳する仕事をしていて、ドイツ語原文を解きほぐす作業をしながらいつも悩むのは、「いかにして原文の雰囲気を保ったままで分りやすい日本語に訳すか」ということです。高校生の頃、小論文の授業で常に先生に言われていたのは「一文は、長くても3行 ( 120字 ) 以内に収めなさい」ということでした。それ以上になると長すぎて、意味が伝わりづらくなると。
山
By Julian (CC)
 たとえば、あるドイツ語の一文を頭から逐語訳してみます。ドイツ語翻訳というよりは、単語ごとの日本語への置換です。
 「 約1300のドイツ国内のビール醸造工場ではたった4つの原材料、モルツ、ホップ、酵母、水から5000種類以上のビールが作られていて、それらは各々が違った個性と格別の味わいを持っている。」
 これは内容としては決して難解な文章ではありません。ドイツ語翻訳者として、日本語にどう訳すべきかなどと考えずにそのまま読んでいれば、言わんとしている内容はすんなりと受け取ることができます。しかし、日本語の文章としては長ったらしく、決して良い文章とは言えません。同じ内容を最初から自然な日本語で言い表すとしたら、どうなるでしょうか。
 「 ドイツには約1300のビール醸造工場がある。そこでは、モルツ、ホップ、酵母、水というたった4つの原材料から5000種類以上のビールが作られている。すべてのビールは各々が違った個性と格別の味わいを持っている。」 こう書いた方が、日本語の読み手にはすっきりと伝わるでしょう。
 論旨の展開の順序どおりにカンマで区切られた節が積み重ねられていく、というドイツ語の文章の作り。これは、ドイツ語の思考体系がそのまま具現化されているのだと言えるでしょう。ということは、これを日本語として「わかりやすく」してしまうということは、極端に言えば原文が内包する思考体系にまで手を加えてしまうことになるのではないか。より優れたドイツ語翻訳文とは、それを読む者に原文固有の思考体系まで含めて伝達するものであるべきでは…?そんな疑問が頭をよぎることがあります。
駐車場ビル
By Christian Kadluba (CC)
 また、ドイツ語では名詞に女性名詞、男性名詞といった性の区別があります。日本語では 「 ○○教授 」「 ○○医師 」と言っても、それが男なのか女なのかはわかりません。ところがドイツ語では、ほとんどの場合登場人物の性別は、最初の登場時から明らかなのです。これを日本語に翻訳する際に、どうしたら性別を伝えることができるか。そもそも、ドイツ語原文でおのずから性別が明らかだからと言って、日本語の翻訳文中でも性別がわかるような工夫をする必要があるのか否か。一口にドイツ語翻訳と言っても、訳しているドイツ語文書の種類や性格に合わせてこうしたことをその都度考慮する必要があります。そして考慮の結果、性別が読者に判るような日本語訳を作ることが必要となれば…。翻訳の日本語に説明的な補足が加わり、ますます 「 長ったらしい 」「 わかりづらい 」文章になってしまう恐れが大きくなります。 
 以上、ドイツ語翻訳の際に私がいつも考えていることを書き綴ってみました。原文はたった一つなのに、翻訳文は翻訳者の数だけあるわけです。これは当たり前のようで、よく考えると面白いことです。「 これはあの人に訳してほしい 」 と指名してもらえるようなドイツ語翻訳者になりたいものです。


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ドイツ語一口メモ

犬の散歩
By Christian Kadluba (CC)
 ドイツ語の他動詞の多くは再帰代名詞というものを伴うことによって事実上自動詞としても用いられます。このような再帰代名詞+他動詞という構成は日本語にはなく、また、私たちだれでもが学習する英語にもごくまれにしか出てきません。しかしドイツ語ではこの形は非常に頻繁に用いられます。卑近な例を挙げるとsetzenという動詞は「置く」・「座らせる」という意味の他動詞です。他動詞は必ずその動作の対象となる語を伴わなければ文章を完結させることができません。普通動作の対象と言えばその動作の主体(主語)と異なる別のものですが、この動作の対象が動作の主体そのものである場合、上の例ですと「私は私を座らせる」ということになります。日本語ではこのようなもってまわった言い方はせず直截に「私は座る」と言います。このようなときに用いられる代名詞の目的語を再帰代名詞といい、上の例ではI setze michとなります。ドイツ人はこれによって単に「私は座る」と言っているにすぎないのですが、私たちになじみのない構文から反射的にsetzenが事実上の自動詞として使われているとは受け取りにくく、再帰代名詞を使った構文になれるにはかなりの練習を要します。



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