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抽象的な言語、フランス語

ステンドグラス
By Geert Schneider (CC)


リヴァロルという学者がCe qui n’est pas clair n’est pas français.「明晰ならざるもの、フランス語にあらず」と言ったのは18世紀のことです。フランスは17世紀にアカデミー・フランセーズを作って辞書を編纂し、フランス語を純粋で論理的なものにするように努力しました。また同じく17世紀の古典主義の文学がこうした動きに大いに貢献したことも文学史の本を繙けば、必ず書いてあることです。フランス語が本当に明晰かどうかは別として、古典主義の文学がフランス人の教養のバックボーンであることは明らかです。現在でも彼らは学校でこの文学をたたき込まれているのですから。

この古典主義の文学というのは、ある種の特徴があります。ラシーヌやモリエールの作品は他国の傑作と比べてやや短く、語彙も少ないことが挙げられます。なぜそうなるかというと、表現の抽象度が高いからなのです。つまり、ものごとを具体的な事物のあり方、動きによって描写するのではなく、もうちょっと抽象的なレベルにもっていくのです。

このことはフランス人の思考様式に大いに影響しているということができるでしょう。彼らはものごとを観念に還元して、抽象的なレベルで議論することにたけています。これにはなかなか勝てない。もっと具体的な例を挙げてみると、たとえば、モーパッサンのようなごくごく普通の作家でさえ、抽象度の高い表現を使うのをよく見ることができます。
Le temps n’apaisa point sa douleur.

Ce goût pour le thâtre fit bientôt naître en elle le besoin de se parer.
つまり、「時」だとか「趣味」だとか、かなり抽象度の高い言葉が主語に入っているのである。ここで引用したのは、ごく簡単な例だから、「時の経過が悲しみを癒すことはなかった」とするのではなく、「時が経っても、、、、」とする。後者の文ならば、「芝居好きが昂じて、お洒落をしたくなった」と直感的にくずしてやればすむことであって、あまり目くじらを立てる必要もないことである。しかしながら、もっと抽象度がたかい表現にぶつかったときにどうするか。

フランス語の評論文などでは抽象的な表現で最初から最後まで通してしまうこともある。
Le défi du management est de répondre le mieux possible à ces demandes.
「マネージメントの課題は、こうした要請にできるだけよく応えることである」これは直訳である程度なんとかなるけれど、しかしなんとかならなかったらどうするか。  

フランス語は見てきたように名詞(抽象名詞を含む)をキーにして文を展開させていく、というやり方がある。これに対して日本語では動詞を基軸に述べていくやり方のほうがどうもしっくりくるように思われます。
Cette crise ne se réduit pas au manque de prudence et de vigilance des acteurs financiers
「慎重さや警戒心の欠如に基づくものではない」というよりは、「慎重さや警戒心を欠いたためではない」としたほうが、一読すっと胸に落ちると思われます。
また、動詞的に訳すということは方法的なことだけれど、日本語の場合、ある程度、「あそび」のようなものが入っていた方が読みやすい訳文を作れるように思います。


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フランス語一口メモ パリ14区、その3,国際学生都市

 14区はあまりこれといったものがないと言いつつも、実はけっこう興味深いものがあるのです。その一つがこのCité universitaire internationale de Paris 国際学生都市です。これは全世界からパリに集まってきて勉強する学生たちのために各国の政府、個人がお金を出してつくった寮の集まりで、位置はパリの一番南に位置する14区のさらに南端でして、ここの脇にはパリを一周する高速道路ペリフェリックが走っています。ここは寮の集まりにすぎないのですが、土地がゆったりととってあるので、犬を連れた外部の人が散歩をしたり、学生同士でサッカーをしたりするスペースが十分にあります。キューバ館とか、アメリカ館とかいろいろありますが、われわれに興味深いのはやはり日本館でして、ここは日本の篤志家、薩摩治郎八の出資で建設されたものです。


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