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子育ては楽しい?――フランスの出産事情

子供
By Laurent Saint Jean (CC)


フランス語の翻訳にあたって、フランスの社会の変化を頭に入れておくことは必須です。とくにわが国の常識が通用しない事柄に関しては注意が必要です。

わが国では不景気のために人を解雇する話ばかりですが、長期的には若年労働力が不足することは目に見えているのです。それは、わが国の合計特殊出生率が1,27と先進国中でももっとも低い部類に属すからです。

これに対してフランスも両大戦間にあるいは戦後しばらく出生率の低下に悩みましたが、現在は1,89とかなりよい数字を出しており、この数字はヨーロッパの中でも、ドイツの1,36,イタリアの1,38と並べるとかなりよい数値であることはおわかりいただけると思います。ちなみに人口が増えも減りもしないためには出生率が2,09程度であることが必要であるとされています。

フランスは過去に出生率の低下に悩んだだけあって、国の予算にかんしても出産、子育てに関する環境の整備をし、予算もかなり使っています。しかしそれだけでもないのです。

ちなみにフランスと日本の出生事情を比べてみますと二つくらい顕著な相違に目がいきます。ひとつはフランスでは生まれる子供のちょうど半分は婚外子であることです。つまり正式な結婚から生まれていないのです。では生まれてくる子供は父なし子かというと、そういうケースもありますが、かなりの確率で同棲しているカップルの子どもなのです。そうです、フランスでは正式な結婚はしていないけれど、同棲して、しかもパックス法によってある程度公的な認知をうけているカップルが多いのです。ですから、これは出生の違いと言うよりは、カップルのあり方の違いと言った方がよいかもしれません。

つまりこれまでの「結婚」のあり方が現代にはそぐわない、とフランス人は考えていることになります。これと似たようなことは、別の形で日本でも現れていて、日本の出生率があがらない大きな原因は、婚姻率が下がっているからなのです。ご承知の通り、日本人は「できちゃった婚」といって、不測の妊娠でもしないと、結婚もしないし、子育ても引き受けなくなっているのです。日本人も従来の形の結婚を忌避することをはじめているわけです。ですから、日本でも婚姻のあり方をこれから変えていかないと、いくら予算を投じても出生率が上がらないかもしれません。

もう一つの違いは、フランス人になぜ子どもを産んで育てるのかと尋ねますと(現在のフランスでは子どもを産むのには理屈が必要なのです)、かならずその理由の筆頭には「子育てが楽しいから」という理由が挙がるのです。

フランス人は「子育てが楽しいから」子どもを育てるという話をするとたいていの日本人は驚きます。日本人は平均的なところでは、子育ては、それはもちろん感動的な喜びもあるだろうけど、概して苦労が多いと思っているのではないでしょうか。
たしかに、具体的な子育てを社会的、経済的な観点から見てみますと、子育てに対する国の支援はフランスの方が手厚いし、働きながら子育てをするお母さんに対する支援もあります。また受験競争も日本ほどは激しくはないのです。しかしそうはいっても校内暴力もフランスにはありますし、いじめもあります。ですから、トータルにいって「楽しいことばかり」ではないと思います。

それでも「子育てが楽しい」とフランス人が考えるのは、たぶんイデオロギー的なものがあるのではないでしょうか。ただこの場合「イデオロギー」というのは、「誤った考え」というのではなく、社会の中に空気のように存在する思考法としてそれがあるのではないでしょうか。それはちょうど、フランス人の家族観に対応する考えなのではないでしょうか。


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フランス語一口メモ パリから日帰りでいく街
ボーヌ

ボーヌはブルゴーニュ地方の小さな街でして、ワインの集積地として名をはせたところです。
ワインというのはフランスではアルコール飲料を一手に引き受けているような飲み物ですから、これはすなわち大産業でして、そのためにワインの一大産地ブルゴーニュは非常に豊かな国でして、一時期はフランス王の命令に従わず、100年戦争の時には英国の味方をしましたし、フランドルと統一国を作ったりしていました。

ですから、このブルゴーニュの小さな街ボーヌにもそうした大いなる歴史の記憶に満ちた街でして、たとえば街で売られているワインなどでも高価なものが多く、ワインのために動いているお金の膨大さを想像させます。

この街で最大の見所は中世から続くHotel-Dieu (現在の病院にあたる)でして、この建物の立派さ、壮麗ぶりに驚きます。ここの最大のウリは北方ルネッサンスの巨匠ヨヒール・ヴァン・デア・ヴェイデンが描いた最後の審判の巨大な絵です。この絵はその巨大さと同時に虫眼鏡で見なければならないほどの精密さに驚きます。


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