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階級社会、フランス?

旗
By Jean-Etienne
Minh-Duy Poirrier (CC)


フランス語の翻訳を試みる場合に、知っておかねばならないフランスの文化的・社会的な背景のおそらく最重要事項には階級の問題があります。
マルクスは、西欧社会に階級間の差別があると言いました。フロイトは、エディプス・コンプレックスの存在を指摘しました。

こういうマルクスやフロイトの主張は日本ではひとつの観念として理解されるだけですが、欧米、フランスで生活してみると、現在でもひとつの現実としてそこにあるように思われます。

もちろん現在は社会福祉等も発達して、マルクスのいったような非常な貧困の現実とかはないし、町で見ていてもムカシのように一目でその人の階級がわかることなんてありません。しかし、階級の差というものは厳然とあるように思われます。

現代での社会階級は、cadre 「幹部」 とnon-cadre 「ヒラ」という差別として存在します。わが国でも官僚、警察、自衛隊の世界ではキャリア(将校)とヒラ(兵隊)の区別が厳然とありますが、あのシステムが社会全般に拡がってある、と考えればよいでしょうか。というか歴史的に見れば実態は逆で、明治期に欧米の社会組織論が日本に入ったときに、欧米の階級的な社会と会社の組織論を導入したのだけれど、日本では官僚・軍隊等にそれが残ったのに対して、民間企業ではその組織形態がつぶれて、もっと日本の実情にあった家族的会社組織となったのではないでしょうか。

Cadreと non-cadreに分かれている組織というのは、ひとつの組織の中にふたつのグループがあって、一方が命令し、他方が実行するというイメージを考えればよいでしょうか。しかし、こうした組織では、ヒラのひとたちは、まず幹部層の昇格することができないし、この二つのグループは昼飯を一緒に食べに行くこともないのです。

ただ、現在は産業のサービス化が拡がって、ITとか、出版業とかのようにホワイトカラーしかいない職場、Cadre しかいない職場も生まれていますが、そうしたところではcadre superieur と cadre moyen の間に階級的な亀裂が走ると言われています。

ですから、欧米でも会社によって実態はさまざまでしょうが、しかしこういう差別がたえず発生するような基本構造がある、ということもできます。

一般にこうしたシステムですと、ヒラの人たちはどんなに働いても出世もしない、基本的に言われたことを実行するだけなので、あまり意欲もないし、知的な能力・向上心もありません。そういう現状なのでヴァカンスのことしか考えていないとか、終業時刻を一分でも短縮することしか考えおらず、15分前になると片付けにはいる店員が多いということになります。

この人たちのやる気のなさ、能力の低さは、お店で、また郵便局でじっさいに接してみればよくわかります。外国人の多い大デパートの店員がデタックスの税率を知らなかったりすることは日常茶飯事ですし、郵便局員が客がおおぜい並んで待っているのを無視して奥に休憩に入って出てこない、閉店15分前になると片付けを始めて、客を追い出しにかかる店員等々、例に困りません。

この人たちは当然、学歴も低くやる気もありません。また、喋るフランス語も異なることがあります。これはちょっと庶民層でもいろいろな庶民層があるので、微妙な問題がありますが、やはりフランス語が異なるのです。ですから、翻訳の場合に注意が必要なこともあります。

フランスという国は不思議なところで少数の非常に優れた知性を生み出す国ですが、他方ほんの15年前までは、わが国の高卒資格にあたらバカロレアをパスする子どもは18才の3分の1に過ぎませんでした。現在は急激にバカロレア合格率を上げているために中高等学校で無理が発生している、またバカロレア終業後の大学1,2年の段階で大量振り落としが行われています。


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フランス語一口メモ ルアンー日帰りでいくノルマンディーの首都

ルアンは現在ではパリから列車で一時間ほどでいける町です。

ノルマンディーでも最大の町で、しかもヴァイキングの活躍やジャンヌ・ダルクの処刑など、歴史の記憶に満ちた町でもあります。ここは19世紀になってひとびとがゴシックの建築の魅力を再認識するようになったときに、非常に脚光をあびた町なのです。

じっさいそういう評価に値するように、まちの中心にはモネの描いた大カテドラルがあり、その周辺にはサンマクルー教会を始めとするゴシックの教会がいくつもあり、その結果まちの中心部からは何本ものゴシックの尖塔が高々と伸び上がっているのです。

実はルアンはセーヌの辺にある町ですが、ほぼ盆地上になっていて周囲はあまり高くない丘陵に囲まれています。そのなかのいくつかの丘からルアンの町を見下ろすと眼下にセーヌと町並みが広がり、そこから何本もの尖塔が天へと伸び拡がっているすばらしいパノラマ風景が展開するので、その景色が非常に有名で、ひとびとはその光景を見るために丘に登ったのです。「サント・カトリーヌ」とか「病人の丘」といった景勝地かみる風景が特に有名でした。


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