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翻訳のテクニックーーできるだけ訳し下ろす

屋根
By André Mouraux (CC)


これはフランス語に限った話ではありませんが、西欧系の言語を日本語に訳すに当たって、これまでは漢文訓読の影響からか、後ろから訳し上げる習慣がありました。特に文章の最後に関係代名詞に導かれた節(文のなかの文、主語と述語がある)があると2行も、3行もいったん下がり、そこからだんだんと前方へとホフク前進するようなことをしなければならず、結果的にわかりにくい訳文を作ることになったと思います。しかし、フランス人は(西欧人は)左から右へと順を追って読んでいくのであって、文章自体もそのように読むことによって理解できるように作られているのですから、そのように訳した方がわかりやすいのではないでしょうか。ですから大原則として(これはあくまでも大原則であって、例外となるケースも多々あるが)「訳し下ろす」という原則をたてたらどうでしょうか。もう実践されているか方も多いと思います。

ただ、こういう原則をたてて訳す場合には、じゃっかんの工夫が必要となることがあります。たとえば、 
  1. J’irai le voir avant de partir.  
      
    これは、「出発する前に彼に会いに行こう」ではなく、「彼と会ってから出発しよう」とやるわけです。もっともこのくらいならあまり差がありませんが、後半がもっと長いとがぜん差が出てくるのはおわかりと思います。たとえば、

    J’irai voir mon frère avant de partir pour le pays de ....

  2. フランス語で主節と従属節がある場合、主節の方に意味の重点があるという決まりはありません。どっちかというと後ろの方に重点がある場合が多いのです。

    M. Lantin ouvrait la bouche pour déclarer [...] quand le bijoutier prononça. (Maupassant)

    「ランタン氏が口を開きかけると、宝石商は言った」この場合には訳し下ろすことは義務です。なぜならば、主節は半過去で状態をあらわし、従属節は単純過去で動作を示していて、動作に重点があることは明らかですので。

  3. 訳し下ろす場合にいちばん問題になるのは、関係代名詞に導かれた節ですが、フランス語では、関係代名詞に導かれた節が先行詞のありかたを限定していない、つまり非限定的な用法も多いのです。

    Il a rencontré son prof. qu’il a salué. 「彼は先生に会って、挨拶をした」

    この場合も訳し下ろすことは「好ましい」どころか「そうしなければならない」のです。とくに、que の前と後ろが同じ時制の時は、まず間違いなくこのように訳し下ろさなければいけません。フランス語では同じ時制が二つ続いたときは、二つのことが同時に起こるのではなく、前の動詞が行われた後に2番目の動詞が行われるのが普通だからです。

  4. 関係代名詞に導かれているが、実は「理由」などを表していることがあります。これも訳し下ろします。

    Les soldats, qui ne s’étaient pas sauvés, furent faits prisonniers.

    「兵士たちは逃げなかったので、捕虜にされた」

  5. しかしそうはいっても関係代名詞には限定的な用法というのがあって、これはどうしても訳し上げないといかん、というケースがあります。そういう場合には訳し上げる文をできるだけ手短かに訳すのがコツです。

    Elle apportait sur la table où ils prenaient le thé la boîte de maroquin... (Maupassant)

    「ふたりがお茶を飲むときのテーブルの上に彼女はモロッコ革の箱を置いた」というのはちょっとまだるっこいのです。ですから「ティー・テーブルの上に置いた」とやってしまえばすっきりします。

    以上のような例を参考に訳し下ろすテクニックをお考え下さい。



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フランス語一口メモ パリ14区その2,ダンフェール・ロシュロー

14区はあまり歴史はないかわりに商業的な中心地もいくつかあるし、興味深いスポットにも事欠きません。
ダンフェール・ロシュローはあまり知名度が高いとは言えませんが、この広場のすぐ脇にあって、写真の発明者の名前を取ったダゲール通りrue Daguerre は多くの食材店が並ぶ通りとして有名です。パリにはご承知の通り週に2,3回店の出るマルシェがたくさんあって人気を集めていますが、固定の店がマルシェのように並んでいる地区もあります。いちばん有名なのはムフタールでしょう。このダゲール通りもこれに劣らず有名で、しかもここで入手できる野菜、お肉、ハム、魚介、その他の品質はムフタールに勝るとも劣らないレベルです。


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