専門分野に強いフランス語翻訳会社スタッフエッセー ( 日本語 ): フランス法律翻訳

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フランス法律翻訳という分野について

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By Eddy Van 3000 (CC)


フランス語の法律翻訳分野について、詳しいことを知っている人はあまりいないであろう。かなりマイナーな分野である。したがって、フランス語翻訳に使用できる文献も極めて少ない。仏和辞典は書店やインターネットで数知れないほどのものを入手することができる。だが、フランス法律辞典やフランス法に関する文献となると、英語に比べて極端に数が少なくなる。私が使用している辞書のひとつに、フランス法律用語辞典 ( 三省堂 ) があるが、これはフランスの Dalloz 社の法律用語小辞典を翻訳したものである。素晴らしい訳が掲載されており、実際に役に立つ。しかし、これに載っていない場合が問題となる。法律翻訳において法律用語はキーワードであり正確性が基本となるので、想像で片付けることはできず、必ず何らかの権威ある文献で確認を取らないと納品することはできない。したがって、この場合には、英語で書かれた文献で当該フランス語の意味を調べるのである。訳語の抽出ではなく、当該用語の意味ないし定義を勉強するという作業である。Dalloz 社の Harrap’s Dictionaire Juridique がコンパクトで便利である。フランス語の意味が分かれば、それが日本のどの制度に該当するかは大体見当が付く。そうすれば、実務上解決することができるのである。

一応は、上記のようにいえる。しかし、フランス法律翻訳の分野については、英米法に基づく契約書や法律条文の翻訳とは異なった部分がある。日本は、戦後英米法の影響を受け、特に米国の法律を参考に法律が改正されてきた ( 会社法の分野においてその傾向が著しい )。したがって、日米の法律制度は、大枠において類似しているといえる。これに対して、現在フランス法と日本法は相当程度に親密性を失っていると思う。具体的に言うと、専門用語に聞きなれない訳文が多く、翻訳調となり、意味が分かりにくいものになってしまうのである。フランス法律用語辞典に掲載されている訳文を見て、常識ある日本人が直感的に理解できないものも少なくない。確かに、厳密に法律翻訳をしようとすれば、そのまま表現するしかあり得ないといえる。これでいいのであれば楽である。つまり専門家が読む文章である。日本の憲法もマッカーサ草案 ( 英文 ) の直訳であり、当時ほとんどの日本の有識者がその意味が分からなかったというのと同じである。少なくとも実務に携わるものが慣れてしまえば使えるのであるが、誰も意味が分からないのであれば、国語ではなくただのゴミである。難しい文章であれば高級と考えるのは実は誤りである。中学生くらいの子供でもある程度読めるくらいの文章でなければいい文章とはいえないと思う。

民法典の編纂について次のような経緯がある。19世紀後半に法整備を急いだ日本は、制定当時世界で最も優れた民法典であるフランス民法典をそのまま翻訳しようとしたが、その際担当者の衛藤新平が「誤訳をも妨げず、唯速翻訳せよ」といった話がある。専門家でさえ、スラスラ翻訳することができない超A級クラスの翻訳である。時間があれば何とかなっても、限られた時間で相当量の翻訳となると、かなり困難な作業となる。辞書で調べるといっても、実は載っていない場合が多いのであるから、最終的にはこういう意味であろうと未確認のまま翻訳することもある。法律的に重要な意義を有する専門用語であれば、徹底的に調べる必要があるが、調べても分からないのであれば逆にたいした重要性はないのであるから、翻訳不能としても法的に問題とならないであろう。但し、法律翻訳という厳密な文書において、カタカナ表記や原文アルファベット表記で注意を喚起するくらいの配慮は必要である。

なお、裁判所が準拠法としての外国法を適用する場合、裁判所が職権をもってその内容を調査しなければならないことになっているが、裁判官は外国法の存在および内容について不知であるのが普通である。従って、実際上は当事者が翻訳文を提出してその内容を主張 ・ 立証しなければならない。準拠法がフランス法である場合においても同じである。そこで、その内容の真実性、正確性の程度が問題となるが、翻訳者のレベルに応じて、相当程度に内容に差異が出てくると思われる。


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フランス語一口メモ パリ7区

パリ7区の特徴は行政機関が多く集まっていること。国民議会(Assemblée nationale)、首相官邸をはじめ、数々の省が点在する7区は、パリで一番セキュリティーが高い区とも言われています。観光名所も多く、オルセー美術館や、ナポレオンの眠るアンヴァリッド(廃兵院)や、パリの象徴、エッフェル塔があるのも7区です。 7月14日のパリ祭の祝日には、士官学校(École militaire)とエッフェル塔の間のシャン・ド・マルス(Champs de Mars)公園でコンサートが開催されたり、夜には花火が打ち上げられるなど、盛大に革命記念日が祝われます。


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