「 フランス語翻訳のコツ 」 翻訳専門 ( フランス語 ・ 英語 ・ 日本語 ・ 多言語 ) スタッフのエッセー

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フランス語翻訳のコツ

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By Oliver Mallich (CC)


名詞の言い換えについて、

フランス語の翻訳を考えるとき、ちょっとした翻訳のコツとして、名詞の言いかえ・書き換えということがあります。

フランス語は実は、同一の名詞を反復して使用することを非常に嫌う傾向があります。それにたいする対処法として、フランス語は二つの対応法をもっています。 ひとつは、代名詞を使用して名詞を受けるということがあります。フランス語で代名詞が発達しているのは、そのことと関係があるのでしょう。

もう一つは、同じこと・ものをさしている別の名詞によって言いかえるということです。 たとえば、フランスという国のことをHexagoneと言いかえたりすることです。たとえば、「アメリカ大統領は以下の決定を下した」というかわりに「ホワイトハウスは、、、」「ワシントンは、、、」というのもこの範疇に属します。

今挙げた例はある程度言い換えの型として定型化されていますが、文学作品のなかでの言い換えなどですと、作家の判断によってどんどん自由に言い換えられていきますので、フランス語の翻訳をするときはそれはそれで、注意を払っていく必要があります。

また、フランスの国語の授業などでは、こういうやり方で作品のより深い理解をめざす作品講読法(explication de texte)のなかでは、一つのテクストのなかで同じ対象をどう言いかえていっているか、ひとつひとつ指摘していく、という解釈法もあります。

たとえば、易しい例をあげてみます。小説『レ・ミゼラブル』のなかでジャン・ヴァルジャンがパリ郊外の村の旅籠でこき使われている少女コゼットを助けにいく有名なシーンがあります。ここでは、当初ジャン・ヴァルジャンは一貫して外部から観察されて、どういう人物なのかよくわからない風情をもって描写されます。

ユゴーはこのいかにも貧しげな服装をしているが、どことなく気品があって「亡命帰りの良家の家庭教師」のような風情を漂わせている人物について、当初はl’hommeという言い方をよくしています。
しかし、この男が東の郊外のラニー行きの乗合馬車に乗ると、当然にも彼はle voyageur と呼ばれます。
コゼットが暮らす旅籠のおかみ、ラ・テネルディエは一晩の宿を乞うこの不思議な男を注視して、金のなさそうな様子をみてとると、bonhomme と呼びかけます。2回目には、brave homme という呼びかけに変わります。
また、この人物は乗合馬車に乗る前に、パリの街角で当時の王様ルイ18世が馬車で通り抜けるのを見かけるのですが、王は ce cul-de-jatte, ce gros-la, sa majeste 等々と次々と言いかえられていきます(パリ庶民の視点に立った呼び方)。

このようなケースに遭遇した場合、フランス語翻訳の立場として、どのように対処すればよいのでしょうか。

こうしたケースでは、もちろん言い換えを忠実に訳出していくことが必要なケースも多々ありますが(たとえば、上に引用したルイ18世の場合など)、しかし言いかえのための言いかえの場合には、あまり忠実に訳し出す必要もないのです。それにHexagone を「6角形」と訳したのでは意味が不明になってしまいます。

日本語では同じ名詞を反復使用することは、フランス語ほど嫌悪いたしませんので、フランス語翻訳の場合は、たんに「フランス」「フランス本土」でと訳し出せば十分でしょう。


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フランス語一口メモ バルビゾンの近郊――黒田と浅井の村、グレー=シュル=ロワン

パリの南東60キロほどに位置するフォンテーヌブローの森の西に位置するバルビゾンの村はバルビゾン派の拠点として栄え、現在は観光地になっていますが、われわれ日本人にとって忘れられないフォンテーヌブロー周辺の村がもう一つあります。

それが、森の南に位置するグレー=シュル=ロワンです。

ここはわが国の黒田清輝と浅井忠がいずれもかなり長期間にわたって滞在して絵を描いたことで有名で、たとえば黒田の代表作『読書』はこの村の娘をモデルとしていますし、また浅井の『グレーの洗濯場』が有名です。

バルビゾンは当時人気が出て、画家が集まりすぎたために、この地域に集まってきた後発の画家たち、とくにアメリカ、北欧を始めとする外国人の画家たちは未開の村をもとめて周辺に散った様子で、その流れで黒田、浅井はこのグレーの村に行ったようです。

しかし、この村はお隣のモレ=シュル=ロワンにシスレイが暮らしたようにセーヌの支流ロワン川の素晴らしい渓流のおかげで大変ピクチャレスクな魅力に溢れた土地でした。結果的に、黒田、浅井はよい土地を選んだと言えましょう。


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