フランス語 ・ 英語 ・ 日本語 ・ 多言語の翻訳会社スタッフエッセー : 翻訳の問題点

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フランス語翻訳の問題点

城
By Eddy Van 3000 (CC)


C’est はいつも「それは」でよいのか?

フランス語で翻訳を行う場合、c’est は日本語の「それは」よりもずっと広い意味と用法を持っているので、いつも「それは」ですませようと思っていると必ずしもうまくいきません。そのことはフランス語翻訳を試みれば経験的にすぐわかることですが、なぜかいつまでたっても「それは」ですませようとする方々があとをたちません。C’est にはさまざまな意味が込められているの、そこをうまくくみ取って訳すことが必要です。

たとえば、C’est un boulanger は「彼はパン屋さんだ」であって、「それは、、、」ではありません。この表現に近い言い方として、Il est Boulanger がありまして、両者は言わんとすることのニュアンスが異なる(後者は、単に彼の職業を形容詞的に言っているだけだが、前者は、一人の人物としてそこにいることを提示しているようなニュアンスです)のですが、そのニュアンスの違いは日本語ではうまくでません。

また、c’est が前文のなかにある何かをさすのではなく、これから述べる何かをさすことがあることも常識です。このc’estの内容が前にあるのか、後に来るのかはいつも神経を払っておく必要があります。

また、c’est にはある種の語を補って翻訳すべきケースも多々あります。小間使いが c’est M.X といったらこれは「Xさまがおいでです」と訳すべきところでしょう。また、c’estを無視して、訳さない方がよい場合もいくらでもあります。たとえば、La verite, c’est que … とあれば、「真相は、・・・であって」というような訳語になるはずです。

また、c’est は多くの場合、前文の内容を承けているわけですが、承けるときにややひねった形で承けることもあります。以下はヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』からの引用ですが、
Un roi qui passe, c’est toujours un tumulte. 「王様が通り過ぎると、いつも一騒ぎあった」
これは文法的にc’est が承けるのは、「通り過ぎる王様」ですが、実際には「王様の通過」をさしているとしか考えられません。このように若干の意味のずれがもたらされることはよくあることです。同じユゴーの例ですが、
L’apparition et la disparition de Louis XVIII faisaient un certain effet dans les rues de Paris. Cela etait rapide, mais majestueux.
Cela はce の強勢形で、意味的な違いはありません。ここでcela が指し示しているのはもちろんl ‘apparition et la disparition 「通過」です。それがrapide なのは良いのですが、しかしそれがmajesteux であるというのは、どういうことでしょう。これは通過そのものではなくて、どちらかとその通過の仕方が「いかめしい」ものがあったということでしょう。そうするとこれは少し言葉を補って訳す必要がありそうです。「その通過ぶりは素早いが、厳かなものがあった」とでもしたいところです。

つまりひとことでいえば、フランス語ではなんでもかんでもc’est で受けてしまうと考え方がよいかもしれません(笑)。逆に言うと、日常会話で話すときに、このc’estはあ非常によく「使える」ということになりますね。


このようにce (cela)が指し示す物に若干の意味のズレがあることはよくあることですので、フランス語の翻訳を行う場合、よくコンテクストを考えて訳すことが肝要です。


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フランス語一口メモ ル・アーヴル(フランス・パリからの日帰りの旅)

この都市はセーヌの河口の右側に位置する非常に大きな港町で、パリで消費する生鮮食料品、とくに魚介類はここで水揚げし、鉄道で2時間でパリに運ばれると言われています。ただこの町は二次大戦で焼けたのを再建したのでして、はっきり言ってあまり観光的な観点からいってみどころがたくさんあるわけではありません。しかし、ここはパリから在来線で一本で来ますから、交通はらくです。ここは二次大戦で焼ける前も新興の港町でせいぜい16世紀に遡る程度なのです。

実はセーヌの河口の港町としては昔はお隣のHarfleur が拠点だったのですが、次第に積み重なる砂の堆積のせいで港としての機能が不全になり、港がLe Havre のほうにうつってしまいました。アルフルールは現在ではル・アーヴルの平凡で物寂しい郊外になってしまいましたが、ここにある巨大な尖塔をもった教会に往時の栄華を忍ぶことができます。

ル・アーヴルはある意味では印象派の揺籃の地でして、モネが『印象・日の出』を描いた運河地帯が残っていますし、モネの叔母が住んでいて彼がよく描いたサンタドレスの海辺の避暑地もそのままで残っています。ここと対岸のオンフルールを拠点にしていたウジェーヌ・ブダンとヨンキントの思い出に満ちた土地でもあります。ここのアンドレ・マルロー美術館にはモネの師であったウジェーヌ・ブダンの海景画がたくさん展示されていて、圧巻です。


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