フランス語翻訳 ・ 校正に関するエッセー ( 日本語 ): フランスの翻訳教育

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フランスにおけるフランス語翻訳教育

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By Matthieu (CC)


日本では翻訳 ・ 通訳を専門に学ぶ大学 ・ 大学院レベルの教育機関の数が限られていますが、フランスでは、翻訳 ・ 通訳専攻コースを設ける大学院 ・ 専門機関の数が約30にのぼります。また、それぞれの教育機関が取り扱い言語、取り扱い分野によって設けているコース数は全部で約60にのぼります。( しかしながら、フランスの教育機関が取り扱う翻訳言語はヨーロッパ言語が中心で、日仏 ・ 仏日翻訳は日本語学科が存在する大学や大学院でオプションとしての選択科目になっていることが多いです。 )また、学部 ・ 学科という形ではなく、大学付属の翻訳 ・ 通訳者養成のための専門教育機関も存在し、パリにある ESIT ( フランス国立通訳翻訳高等学院 ) はその1つです。そこで、翻訳演習が中心である日本での翻訳教育と、ESIT での翻訳教育の違いを見ていきたいと思います。

まず、この学校で勉強するには入学試験を受けなければなりません。翻訳セクションの入学試験受験資格者は、既にどこかの大学で2年間就学し単位をとった者に限られます。入学後、英語 ・ ドイツ語 ・ スペイン語 ・ イタリア語 ・ ロシア語 ・ 中国語といったようなメジャー言語を翻訳対象言語とする者は3年間で翻訳の修士号を取得することができます ( マスターコース )。日本語 ・ 韓国語 ・ ブルガリア語などいわゆる希少言語はその言語を母国語とする者のみ ( つまり日本語セクションにはフランス語を母国語とする者は入学できない ) 1年間の特別コースへの入学が許され、修士号ではなく学校独自の卒業証明書を取得することになります。マスターコースでは、1年目の準備学年で母語方向のみの翻訳 ( フランス語が母国語ならフランス語への翻訳のみ ) が行われ、2年目以降は外国語方向への翻訳も徐々に取り入れられますが、ESIT ではできれば外国語方向への翻訳はするべきではないというのが基本的な考え方です。

この考え方に矛盾するようではありますが、日本語セクションにおけるフランス語翻訳では仏和翻訳は行われず和仏翻訳のみが行われます。というのもこれは日本語を解する教師が翻訳セクションにいないためです。( それから、フランス語方向への翻訳のみが行われる特別コースへの入学試験受験資格には、少なくとも4年間フランス語で大学教育を受けたことが求められています。) また ESIT のもう1つの重要な理論も、母国語ではないフランス語方向へ翻訳する特別コースの教育内容と関わっています。ESIT では翻訳は言語間で行われるものではなく、テキスト間で行われるものと考えられています。つまり、テキストという文章のひとかたまりが伝えたいメッセージを理解し、それを別の言語で言い換えることが翻訳だという考え方です。具体的に和仏翻訳の授業は、日本語を母国語とする生徒自らがフランス語翻訳を行うテキストを選び、フランス語を母国語とする教師が日仏翻訳の課程で自然なフランス語翻訳になるよう手助けするという形で行われます。つまり日本語を解さないフランス人教師は、生徒の日本語の原文テキストの理解に絶対の信頼をおき、授業を進めていきます。このため、フランス語方向への翻訳のみの特別コースには、フランス語が母国語の生徒は入学できないのです。

翻訳の授業以外にも、ESIT では経済、言語学概論、法律、専門用語学、通訳理論、資料収集方法論などフランス語と対象言語間の翻訳のみではなく、翻訳という職業に関して必要とされるその他科目の授業も平行して行われます。修士号取得をめざす者たちは、数ヶ月間翻訳会社でインターンとして働き、その経験について書いたレポート、また1つの専門分野について専門用語学の観点から書いた論文を提出します。

ESIT で教えられる通訳理論では著者が伝えたいメッセージを理解し、翻訳対象言語の中で対応する言葉をひろい集めるのではなく、原文のメッセージを別の言語の中で再現することが求められます。2言語間のある言葉とある言葉の対応が求められるのは専門用語の翻訳のみです。そしてこのことは、どの言語間の翻訳にもあてはめることができます。しかしながらこのメッセージの再現の難しさは、言語構造が離れた言語間ほど難しくなるのも事実です。英仏翻訳に比べて日仏翻訳が圧倒的に難しいのは、共通のボキャブラリー少ないからではなく、シンタックス論的、形態論的な違い、ひいては文章の論理構造の組み立て方まで大きく違う場合があり、この違いを乗り越えて日本語で同じメッセージを再構築しなければならないからなのです。

このように ESIT では日本でのフランス語翻訳教育とちがって仏日翻訳は扱われず、仏訳のみですが、専門性の高いプロフェッショナルの養成を目的としているため、経済など翻訳演習以外の科目も学ぶことになります。また、翻訳を翻訳学として学問研究対象ととらえている専門教育機関であるというところも特筆すべき点です。



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フランス語一口メモ パリ2区

パリはカタツムリ(escargot、エスカルゴ)の殻の螺旋のように右回りに1区から20区までが並んでいます。それぞれの区がそれぞれの魅力を持っています。パリの中心に位置する2区とは、どんな区なのでしょうか?
パリの1区から4区までの4区は、少し歩いたら、次の区に入ってしまうほど、非常に小さい区です。
パリ2区は1区の北側に位置し、一区から続く、日本食レストラン・日本食料品店が並ぶ有名なサン・タンヌ通り(Rue Sainte Anne)があります。特に観光名所はありませんが、パリ証券取引所(Bourse、ブルス)があり、2区とその上の9区との境には、多くの銀行がオフィスを構えています。また、1区との境にある、エティエンヌ マルセル(Étienne Marcel)地区には、新進デザイナーのブティックが並んでいます。横に長い2区ですが、西に日本人街があったり、東の3区と10区との境近くには、夜になると娼婦が並ぶ有名なサン・ドニ通りや、小さな既製服製造のアトリエがあったりなど、パリの中心にありながら庶民的な面影を多く残す区です。


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