フランス語翻訳 ・ 校正に関するエッセー : 専門用語 ( 日本語で読むことができます )

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レストラン ・ メニューのフランス語翻訳
??どこまで専門用語を使うべきか

葡萄
By Steve & Jem
Copley (CC)


先日フランス語で書かれたあるレストランのメニューを日本語に翻訳しました。フランスには日本人観光客がたくさん来ますし、特にパリは世界一の観光都市ですから、需要が多いのでしょう。

さて、その時気になった点があります。それは、フランス語をどこまで翻訳するか、つまり、日本語をどこまで使うかという点です。例えを一つ挙げましょう。

メニューの中に 「 ポム ・ パイヤソン ( pomme paillasson )」という料理の名前がありました。これは千切りにしたじゃがいもを丸くまとめて油で揚げた料理です。( 文字通りに翻訳すると 「 pomme 」 は 「 りんご 」 の意味、ただし 「 pomme de terre 」は 「 じゃがいも 」 を意味し、「 de terre 」 は省略されることがある。また、「 paillasson 」は 「 むしろ 」 や 「 玄関マット 」 などの意味 )。料理に詳しい人、あるいはフランス語に明るい人ならこの料理名を知っているでしょうし、フランス語を多少かじったという程度の人でも辞書やインターネットなどで調べれば簡単に分かります。ただ単にこの料理は何かを知るために、フランス語翻訳のエキスパートは必要ありません。しかし、問題は一般的な観光客、それもフランス語が分からないけどレストランの入口で日本語訳されたメニューを見かけ、安心して店に入った観光客などが、いざテーブルに着いてこの料理名を目にした時に、これがどんな料理か分かるでしょうか?答えはノンでしょうね。

そもそも日本人が分かる単語や文章に直すのが日本語訳というものですから、このフランス語を何とか翻訳しなければなりません。もちろん、文字通りに 「 りんごの玄関マット 」 などと翻訳することは論外です。しかし、私はここで非常に困りました。なぜかというと、この単語に対応する日本語がないからです。当然です。でもだからと言って、上に書いたように 「 千切りにしたじゃがいもを丸くまとめて油で揚げた料理 」 と翻訳するわけにはいきません。これでは料理の内容を説明しているだけで料理名の翻訳にはなりませんから。それでは 「 フライドポテト 」 と簡単に訳してしまってよいでしょうか?これも当然ながらノンです。確かに大雑把に言えば 「 揚げたじゃがいも 」 ですから全く外れているわけではありませんが、この既に日本語化された単語を目にした時に想像する料理は 「 ポム ・ パイヤソン 」 とはかけ離れていますし、これではせっかくの洗練されたフランス料理のイメージが台無しです。そもそも、フランス語翻訳ではなくなってしまいます。また、クライアントの要望に応えるという翻訳者の大切な役目も忘れてはいけません。これはかなりシックなレストランのメニューでしたから、クライアントはその上品なイメージを大切にしたまま日本語訳してもらいたいはずです。

結論から言えば、私が知恵を絞って考え出したのは 「 ポテトのガレット 」 という日本語訳でした。「 パイヤソン 」 よりも 「 ガレット 」 の方が知名度がずっと高いでしょうし、「 じゃがいも 」 は大衆的過ぎるからです。日本人の抱く日本語や外来語 ・ 外国語のイメージとは不思議なもので、馬鈴薯よりもじゃがいも、じゃがいもよりもポテトの方がおしゃれに響くのです。南京豆、落花生、ピーナツなども同様です。そして、この問題は料理や食品の翻訳、ましてはフランス語翻訳だけではなく、その他多数の分野の翻訳に関わっていると思います。

クライアント側で大切なのは、翻訳してもらいたいニュアンス、翻訳後の文章の調子、スタイルなどを明確に伝えること、そして、翻訳者として大切なことは、それがフランス語翻訳であれ何語の翻訳であれ、自分の訳しているものの内容をよく把握し、なおかつそれを理解可能で、クライアントの要望に応えるレベルの日本語に置き換えることではないでしょうか。辞書を引いて、見つかった訳語に置き換えるだけでは良い翻訳はできないと、今回も改めて実感しました。                                                       


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フランス語一口メモ ショッピングのフランス語2

ファッションの国フランス。昔は観光客がよく訪れるエリアでも、英語があまり通じなかったフランスも、最近は少しずつかわってきました。それでも、デパートやパリ以外の小さなお店でのショッピングのために、やはり知っておいた方がいいフランス語。ここでは、簡単な洋服の単語をご紹介しましょう。

まず、洋服の上(シャツ、Tシャツ、セーター、カーディガンetc)は「haut(オ)」と呼ばれます。「haut」はもともと「高さ」や「上部」を指す言葉ですが、その反対の「bas(バと発音、低い・下部)」は洋服の下ではなく「ストッキング」という意味になります。まず、Tシャツは「T-shirt」で、日本語のように発音すれば通じます。しかしながら、シャツは「chemise(シュミーズ)」です。セーターは「pull (ピュル)」、カーディガンは「gilet(ジレ)」。上に羽織るものでは、コートが「manteau(マント)」、またフランス語の「veste(ヴェスト)」は、チョッキではなく「ジャケット」を指しますので注意しましょう。ワンピースは「robe(ローブ)」で、スーツ(上下)は「tailleur(タユール)」です。スカートは「jupe(ジュップ)」で、ズボンは「pantalon (パンタロン)」です。 袖は「manche(モンシュ)」で、半袖は「manches courtes(モンシュ クルト)」、長袖は「manches longues(モンシュ ロング)」、ノースリーブは「sans manches(ソン モンシュ)」です。また、クールネックは「col roulé(コル ルレ)」、丸えりは「col rond(コル ロン)」、Vネックは「col en V(コル オン ヴェ)」です。

もちろん、これらの単語を文章の中で使えるのが一番いいのですが、旅行先で慣れない言葉はなかなか流暢に出てこないもの。どうしても、単語を並べがちになってしまい、失礼な印象を与えがちです。そうならないように、何か物を頼んだ時、そしてそれを持ってきてくれたときに必ず「merci(メルシー)」を付け加えるのを忘れないで下さい。


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