よりよいスウェーデン語翻訳への小さな鍵~今日は何の日?
スウェーデン語翻訳で必要な知識は何でしょうか。スウェーデン語の単語の
意味を調べる、スウェーデン語の文法を覚える、スウェーデン語の発音を知
る、スウェーデンの地名を調べる・・・確かに大切そうです。私が思うに同
じくらい大切なのは、スウェーデンの文化を理解することではないかと思い
ます。
文芸作品の翻訳などでは、特に、翻訳後に原文の持つ雰囲気が全くなくなっ
てしまっては勿体無いと思います。日本語に翻訳しても、スウェーデン独特
の一年の流れ、スウェーデンの季節ごとの風景、におい、音などが伝わって
くるようでありたいと願っています。そのためにスウェーデンを旅したり、
スウェーデン人の友達を作ったり、スウェーデンの新聞をインターネットで
読むなどは、有効ではないでしょうか。
スウェーデンと日本は距離が離れているだけではなく、文化やそれに伴う祝
祭日、行事が違います。翻訳しているときに出会う、日本とは違うスウェー
デンの祭日、風習、景色について、スウェーデンに住む日本人の見た、こち
らの日常を少しご紹介したいと思います。
まずスウェーデンは、他のヨーロッパの国々と同じく、キリスト教文化の国
で、多くの祝祭日に宗教な関連があります。スウェーデン語翻訳をしていく
と、キリスト教に関しても詳しくなるようです。その中心で一番大きな祭日
といっていいのはクリスマスです。スウェーデン語で jul ( ユール ) です。離
れている家族が集まり、決まったクリスマスのメニューや焼き菓子などを食
べて、クリスマスツリーの下に置いたプレゼントの交換をします。スウェー
デンのクリスマスと、日本のお正月とは、祝日自体の意味は違うにしろ、同
じような扱いに思えます。離婚などの多いスウェーデンでは、両親が別れて
いても、その連れ合いや異母異父兄弟などまで集まって、一緒に祝ったりす
るので、私からすると、複雑ではないかと思ってしまうのですが、とにかく
大変なお祝いです。このお祝いの大げさなことには、スウェーデンが、9月
を過ぎるとすでに寒さ厳しく、日照時間も短くなるという気候が、関係して
いるかと思います。クリスマスは、その4週間前から楽しみに待たれます。
スウェーデン語では、 advent です。スウェーデンの気が早い店は、11月の声
を聞くとすでに星 ( スウェーデン語で advents stjärna ) の形のランプを吊り
下げて、気分を盛り上げようとしています。真っ暗な昼下がりに、そのラン
プたちはスウェーデン人の希望のようになっています。
クリスマス後のスウェーデンでは oxveckorna ( 雄牛の週 ) に入ります。休み
でゆっくりしたあと、雄牛のごとく働く週ということですが、雄牛のように
働くスウェーデン人はあまり見たことがありません。どんな忙しい現場でも
必ず fika ( お茶 ) 休憩があり、残業もほとんどありません。ちなみに fika
はスウェーデン人が semester ( 休暇 ) の次に大好きな言葉ではないかと思
われます。それにひきかえ日本人はそういえばいつでも oxveckorna のような
ものですね。
スウェーデンでも、2月14日はヴァレンタインデイ、スウェーデン語の通称
では alla hjärtans dag ( すべてのハートの日 ) と呼ばれます。日本では、おもに女性の方が男性に愛を告白する日ですが、スウェーデンでは ( 愛を表
現する日に変わりないのですが ) 家族や同性、異性の友達どうしでちょっ
としたプレゼントを送って、日ごろの感謝と愛情を表す日です。ヴァレンタ
インデーが愛の日となった理由で、スウェーデンの一説としては、彼の性質
が情熱的だったからではなく、彼の名前の日が、ちょうどスウェーデン人の
来るべき春を強く待ち焦がれる時期 ( 冬のまんなかですものね。) と一致し
たからだといわれています。スウェーデンでは、春というのは愛を呼び起こ
す季節なのですね。日照時間のほとんどない、11月、12月、1月を過ぎて、
ほんの少しずつ光がもどってくる2月ですから。
スウェーデンらしいのは、3月8日の internationella kvinnodagen ( 女性の日 ) です。国際的な祭日のようですが、スウェーデンでは、男女平等政策に力が
入っていて、特に職業における性別の中立性には、厳しい様に思います。例
えば、私はスウェーデンに来たころ、女性のバスの運転手が多いのに驚きま
した。最近読んだ地元の新聞では、この地方で初めての、女性消防士誕生の
記事が載っていました。
そして、3月でもうひとつ大切なのは Vårdagjämningen ( 春分の日 ) です。夜と昼の長さがちょうど同じということで、太陽にこがれるスウェーデンの人たちからすると、とてもうれしい日です。「さあ今日からは日が長くなっ
ていく一方だ!」という会話をいたるところで耳にします。日本ではあっさ
り終わりますが、スウェーデンでは、季節によって昼夜の長さの差が激しい
ので、注目の日となります。
スウェーデンでクリスマスと並んで、大きな祭日をご紹介します。スウェー
デン語で Midsommar です。(もともとの意味は mitt i sommaren 翻訳すると
夏の真ん中 ) 日本語で言うと夏至祭です。その日は 夏が来たことを心か
ら喜び、majstång ( マイストング ) という、緑のはっぱで飾った棒の周り
で、日本人が盆踊りを踊るように、スウェーデンの folkvisor ( 民謡 ) に合わ
せてフォークダンスを踊るのです。
現代のスウェーデン語には、ほとんど残っていませんが、maja という動詞は
翻訳すると、 pryda ( 飾る ) といった意味があったそうです。その他 、maj に
は5月という意味だけではなく、緑という意味もあります。というわけで、
緑のものを飾った長い棒が、スウェーデン語でマイストングと呼ばれるわけ
です。老若男女同じように、昔も今も、共に祝い続けることがあるのは、素
晴らしいと思います。
このような文化の違い、気候の違い、政策の違いを含めて特徴をうまく翻訳
し、人々に読んでもらうかというのは、難しさであり、スウェーデン語翻訳
のおもしろいところはないかと思います。
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