トップページ | スペイン語圏の情報 | スペインの写真 | 直前のページに戻る

スペインのフィエスタ(1)


お祭り衣装
By Nico (CC)

スペイン(Espana)のフィエスタ(1)

スペインの祭り‐フィエスタ。聖週間(Semana Santa)に代表される宗教的な祭りの多くはスペイン全土で祝われますが、スペイン各地方には伝統を誇る独特の祭りがあります。

地方祭りは、バレンシアの3月の火祭りを皮切りに、セビリアをはじめアンダルシア地方で催されるフェリア、マドリッドのサン・イシドロ、パンプローナの牛追い祭り、バルセロナのメルセ祭り等、春から秋にかけ常にスペインのどこかで祭りが開催されているといっても過言ではありません。

さて、スペインの東、地中海沿岸部の都市バレンシアでは3月の声を聞くと同時に、火祭り・ファリャス(Fallas)の準備が進められ、街はにわかに華やぎ始めます。
春の訪れを祝うこの祭りは3月15日から19日かけて開催されますが、3月1日から毎日この祭りの呼びもののひとつ、マスクレタ(Mascleta*)―打上げ花火と数千発の爆竹を一斉に鳴らす―の大音響が市内に轟き、子供たちは早くも爆竹やかんしゃく玉で遊び始めます。
3月15日にファリャの組立・完成(La planta*)。祭りの間、町全体は巨大な張子のモニュメント・ファリャ(falla)に占拠されます。また通りを飾るイルミネーションもこの祭りには欠かせません。
火祭りコミッション(参加者の組合のようなもの)はバレンシア市内外の各地区にあります。毎年、各コミッションは主に時事的な話題などを採り上げ、風刺をきかせたユーモアたっぷりのファリャを立ち上げます。張子の構造部分は木材を使用、中には高さ30メートルにおよぶファリャもあります。市内に並ぶ700ものファリャは子供と一般の部があり大小様々。いずれも見事な芸術作品といえ、その中からセクション別にコンクールが行なわれます。(但し、市役所広場のファリャはコンクール外)。
そのファリャが全て燃やされる(La crema*)3月19日深夜まで、守護聖母への献花(ofrenda)の行列や連日夜空を飾る打上げ花火大会(castillo de fuegos artificiales)など行事が盛りだくさん。特に18日深夜に行なわれる打上げ花火La Nit del Foc*(炎の夜の意)は見逃せません。ファリャを構成する人形はニノ(ninot*)と呼ばれます。投票によって選ばれる人気のニノ1体だけは最終日の火あぶりを免れ、火祭り博物館に展示されます。

バレンシア地方は昔から家具の産地として有名です。椅子類を仕上げるための張り生地が必要なことから繊維産業も栄えました。冬が終わり日が長くなると、大工は冬期の作業中ランプをつるした台など工房の不要品を始末するためにそれらを集め、聖人サン・ホセの日(3月19日)の前夜に燃やしました。18世紀頃のこのたき火の習慣は、次第に布をまとって人物を模した人形を燃やすよう変化。これが火祭りの起源といわれ、20世紀になりモニュメントが造られる現在の祭りの様式になりました。ところでサン・ホセですが、これはキリストの父ヨセフにあたります。彼の職業は大工だったため、大工の守護聖人です。火祭りはこの聖人ヨセフに捧げられた祭りであります。

さて祭りの期間中、色鮮やかなバレンシアの民族衣装を着た火祭りコミッションに属するファリェロ(fallero)やファリェラ(fallera 写真)が街のいたるところで見かけられます。
スペインというとアンダルシア地方にあるフラメンコスタイルの民族衣装が真っ先に浮かぶと思いますが、スペインの民族衣装はバラエティ豊か。見事な織物で仕立てたバレンシア地方の衣装は春の陽光にきらきらと輝きます。

最終日の深夜、市内の全ファリャが次々に灰と化した後、遂に火祭りはクライマックスを迎えます。市庁舎バルコニーから最後に残った市役所広場のファリャに点火、炎に巻かれ燃え尽き火祭りは終わります。しかし、その次の日から翌年のファリャへ向けて準備が始まります。

(注:*はバレンシア語)

バレンシア語のPlantaとCrema

La planta

バレンシアは古くから灌漑農業が行なわれ、郊外には野菜畑huertaが広がります。ファリャを建てるのも野菜を「植える(plantar)」かのように表現されます。

La crema

標準語ではla quema。「燃やすこと」また「火あぶり」の意。スペイン語のcremacionは火葬を意味します。

最後に、火祭りに欠かせない花火に関する用語を紹介しましょう。(呼び名は地方により異なる)

pirotecnia:花火、火工術
fuegos artificiales:花火
castillo de fuegos artificiales:打上げ花火、仕掛け花火
bomba pirotecnica、carcasa:打上げ花火の「玉」
cohete:打上げ花火
volador:ロケット花火
petardo:爆竹
bombeta:かんしゃく玉
cohete borracho、buscapies、carretilla:ねずみ花火
traca:爆竹を導火線で繋ぎ(各爆竹には間隔あり)連発させる仕掛け。
mecha:導火線、またランプやろうそくの芯の意も。特に子供たちは爆竹の点火用に利用。


エクスコムシステム ランゲージ サービス

スペイン語翻訳、スペイン語校正などの日本在住代表者連絡先 : honyaku@excom-system.com
( お支払いは日本国内の銀行口座を御利用いただけます。)

スペイン語翻訳、スペイン語校正以外の英語翻訳、英文校正、多言語の翻訳と校正も承ります。


スペイン語一口メモ Petardoな人とは?

爆竹をスペイン語でpetardoというの上記本文で説明しましたが、petardoには他にも意味があります
例えば、
Nos ha pegado un petardo. 騙された。(詐欺やごまかし、借金を返さないこと。)
Como un actor, es un petardo. 俳優としては大したことない。
No aguanto a su mujer, que es una petarda. 彼の奥さんには我慢できないよ、何しろしつこい女だからね。
Su novia es un petardo. 彼の恋人はブス。






このページの先頭へ

エクスコムシステム ランゲージ サービス(ELS) Copyright 2009無断転載禁止。