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ドイツ人

チェス
By Luciano (CC)


1989年のベルリンの壁の崩壊により、それまで東西に二分されていたドイツは一つの統一国家となった。つまり現在のドイツは、新たな国家体制を発足させて20年にも満たない歴史しか有していないのである。現在普通に「ドイツ人」というと、この現在の国の国境内に居住しドイツ国籍を有する人々をさす。しかし、現在のドイツおよびその版図の周辺の地域は歴史上国境線が頻繁に変更されてきたし、また、そもそも統一されたドイツというものの存在自体が古来確固としていたわけでもなく、それまでの領邦国家体制をひとつのドイツ(帝国)にまとめ上げたビスマルクの事業以来、過去1世紀半のあいだだけでも幾多の変遷を経てきている。

上のように単純に、ある一定の国境線に囲まれた領土内に居住しその国家から国籍を認定されている人々の集まりを「ドイツ人」と見なすとすると、「ドイツ人」の範囲は極めて不安定なものとなり、「ドイツ人」とは何かということが改めて問われることになる。実は「ドイツ人」をどう定義するかというのは至難の問題なのである。
 
ドイツは上記のドイツ帝国の成立によって初めて近代国民国家としての体裁を整え「国民的統一」を達成したが、しかし、このときも含めて現在に至るまで(そしておそらく将来にわたっても)「単一民族」からなる統一国家を持ったことは決してなかった。そもそも、19世紀の最初のドイツ統一の中心となったプロイセン王国の中心にあったベルリンの位置する東北部のブランデンブルグは、すぐ近くのポーランドのスラブ系の住民との雑居地であったのであり、プロイセン王国内で活躍した「ドイツ人」の中には多くのポーランド系プロイセン人がいたと言われる。また、ヨーロッパにあってはもともと人の移動が比較的容易で自由であった。これは大陸ヨーロッパ圏内が陸続きであり、自然環境も言語も生活習慣も地理的な広がりの中で徐々にしか変化していかない、という状況に負うところが大きいと思われる。つまり、国境線が不安定なうえにそれをまたいだ人々の移動が長い間にわたって続いているのであり、現在は「ドイツ人」と言われる人々も少し時代をさかのぼればもともと「ドイツ人」の家系ではなかったり、逆に一時期までは「ドイツ人」であったはずの人々が現在では「ドイツ人」ではなくなっている、というケースがいくらでも存在しうるのである。
塔
By Sonderzeichen (CC)


現代の日本人の描くドイツ人のイメージは、明治維新以後日本が急速な近代化の過程において手本とした統一国家ドイツの国民である。ドイツ国籍を有するとともにドイツ語を話し長くその地に居住してきたゲルマン系の血筋に属するというのが、「ドイツ人」であることの大雑把な基準とされてきたといってよいであろう。しかし、上に論じた国籍の問題は別として、ドイツ語を話すということでは、域外から居住してきた「他国人」であっても二代目以降であればもともとドイツ国内にいた人々との区別はなくなる。例えばドイツで生まれ育った移民労働者の子供は、母国語としてドイツ語を身につけるからである。とすると残るのは「ゲルマン系の血筋」という「人種的」な差異だけということになる。この点を特に強調し「ドイツ民族の優秀性」を主張したのは、ヒトラーの時代のホロコーストやナチズムの背景となったえせ科学(「優生学」)であった。ユダヤ人の絶滅と周辺諸国への侵略を正当化する「根拠」として、あたかも純粋な民族であるかのようにでっちあげられたアーリア人種の優越が説かれたのである。大戦中の日本はドイツの同盟国としてこのようなドイツ人観からも影響を受けたと思われる。しかし、現在の「ドイツ人」自体、長い歴史的な経過の中で当然のことながら多くの民族の血が混ざっているのであり、その「純粋性」を強調するのは、意識的な排他的思想によるところが大きいと思われる。


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ドイツ語一口メモ

アート洞窟
By Deb (CC)
ドイツ語で書かれた文章を見た時に受ける表面的な印象の一つは、他のヨーロッパ言語に比して非常に長い単語がいくつも見られることです。これはドイツ語の名詞が2つ(ないし場合によってはそれ以上)組合わせられてひとつの単語を形作ることによります。その際、もともと別の名詞であったものを組み合わせる働きをするのが接合辞とよばれるものですが、これはドイツ語ではsというひとつの文字からなります。たとえばStattsapparat(国家機関)の場合にStaatとApparatの間に置かれているsがそれに当たります。しかし、このような接合現象が生ずる時にもこのsが用いられないケース(たとえば、Schlafzimmer(寝室))もあります。これは接合部分の音の組み合わせによっては、sがあると発音しにくくなるためと考えられます。



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